「思想調査」アンケートは「不当労働行為」と認定 ―府労委が大阪市に命令
「謝罪」から一転「不服申し立て」に豹変  橋下市長は自らの非を認めよ

2013年3月26日
大阪自治労連 書記長 荒田 功(談話)

 3月25日、大阪府労働委員会は大阪市が昨年2月に全職員を対象に実施した「労使関係に関する職員アンケート調査」(思想調査アンケート)について、労働組合法が禁止する不当労働行為に当たるとして、文書(今後、このような行為を繰り返さないようにいたします)を組合側(大阪市労動組合連合会、以下、市労連)に手交するよう命令した。

 府労委「命令」は、橋下市長が権力を振りかざし職員に強制したアンケート調査が、「組合活動に対する支配介入」であることを断定し、違法行為を重ねる橋下市長に対する不当性を示したのである。

 これに対し橋下市長は「大変申し訳ない」と謝罪し、「命令には従う」と約束したにもかかわらず、午前中の発言を一転させ、その日の夕方になって「不服申し立て」を行う考えを示した。朝令暮改さながらの彼の行為は、労働委員会の「命令」をも認めない独裁性を露わにしたものである。

 大阪自治労連は橋下市長に対し、府労委「命令」を厳粛に受け止め、市に働く全職員に対して謝罪し、心からの深い反省を求めるものである。

 問題の「職員アンケート調査」は、2012年2月9日から16日の期間、消防局を除く全職員を対象に、市長の署名入りで業務命令として記名式で実施された。同調査は正確に回答しなければ処分の対象となるとし、組合加入や組合活動、特定の政治家を応援する活動などへの参加の有無、誘った人の氏名など答えさすものであり、まさに職員に対する「思想調査」であった。

 府労委は今回の「命令」にあたり、本件アンケート調査自体が市長もしくは任命権者の名前において行われたのであるから、具体的実施に関して市の直接の関与があったというべきものであるとし、また、調査項目が「労働者と組合」「組合員と組合」への介入であるとして、「本件アンケート調査は、市が主体となって行ったものであり、かつ、支配介入であると認められる」と判断した。

 現在、大阪市職員55人の原告団による「思想調査」アンケート国賠訴訟で大阪市側は、アンケート調査の実施主体は「橋下市長から依頼を受けた第三者調査チームであり大阪市ではない」と言っている。今回の府労委「命令」により大阪市側の言い分はすべて退けられた。橋下市長は自らの非を認め、原告の訴えを受け入れ、解決することを強く求めるものである。