2022年8月17日

【大阪自治労連アピール】

故安倍元首相の「国葬」を中止し、
住民と職員への強制は断じて許さない

大阪自治労連第22回執行委員会

 

 2022年7月22日、故安倍元首相の「国葬」を9月27日に行うことが閣議決定されました。その理由に「安倍氏が憲政史上最長の8年8か月にわたり首相を務めている」「国内外から哀悼・追悼の意が寄せられている」ことを挙げて、内閣府設置法における内閣府所掌事務に定められた「国の儀式」の規定を法的根拠とし、その費用の全額を国負担としています。しかし、これに対して多くの国民が反対していることが世論調査からも明らかになっています。

 「国葬」の歴史を振り返ると「戦前の勅令」として行われていますが、1947年に日本国憲法の施行で失効しています。それは、憲法に基づく「思想・信条の自由」「内心の自由」「政教分離」「国民主権」の原則から両立できません。そのために、「国葬」を行うことも国が全額負担することも認められず、何ら法的な根拠はありません。さらに、国民に対する「弔意の強制」につながり、国民が税金を納めている以上、それを「強制に値する」と言っても決して過言ではありません。

 吉田茂元首相の「国葬」では、1分間黙祷後に全国でサイレンを流し、テレビ番組を放映制限され、防衛庁(当時)儀仗隊が19発弔砲を発射しています。官公庁職員の早退や学校の半日休校措置を民間学校や企業にも要請し、一般家庭にも当日弔旗を掲げ、1分間の黙祷を要請しています。

 政府は「国葬」にあたって、生活に影響を及ぼす国民の服喪を求めず、「休校措置は想定していない」(文科大臣)と説明しています。但し、「日の丸・君が代」法制化に際し、事前説明で同様に「強制しない」と言いながら、学校現場で多くの教員らが処分されています。まさに、憲法19条が保障する「個人の内心の自由」を侵すものであり、政府から強制されることは断じて許されません。

 このまま「国葬」が行われた場合、地方自治体に対して半旗掲揚等が強制され、地域住民や自治体職員に弔意を押しつけられることが十分に想定されます。

 日本が敗戦して77年目を迎えました。「戦争の惨禍を二度と繰り返さない」という誓いこそ戦後日本の出発点です。ロシアによるウクライナ侵略という暴挙に乗じて、憲法9条を改悪して「戦争できる国づくり」をめざし、平和憲法の歩みを逆転させる動きが強まっています。

 私たち自治体労働者は、かつて「天皇の官吏」として国民を戦争に駆り立てる役割を担わされた痛苦の歴史があります。だからこそ、現行の憲法と地方自治のもとで「全体への奉仕者」として、平和憲法の遵守とともに、住民が健康で文化的な生活を営む権利を保障することを責務としています。

 大阪自治労連は、故安倍元首相の「国葬」閣議決定に断固反対します。また、地方自治体が「国葬」に際して、憲法を尊重擁護し、住民と職員に強制しないことを強く求めるものです。

以上