>>自治体職場からの告発レポート

[UpDate:2006/5/13]

[介護保険]
   大幅な保険料引き上げの上に
   これまでのサービスも利用できない

● 給付見直しでサービスが利用できず、寝たきりで日中放置

Aさん(女性82歳)は、ほぼ寝たきりで、Aさんの娘・B子さんが家で世話をしています。B子さんも仕事があるので、月のうち半分はショートステイを利用し、半月間はデイサービスとヘルパーを使っていました。ところが、昨年10月からの介護保険見直しで、Aさんのショートステイの食費と部屋代が自己負担に。今まで1日780円だった食費が一挙に1500円に、部屋代も一日400円(相部屋)とられるようになりました。デイサービスも食費がこれまで1日500円から800円に跳ね上がりました。

Aさんの年金は月3万円あまりしかありません。これまでのショートステイ、デイサービス、ヘルパーの利用者負担1割に加えて、この食費・部屋代の自己負担化は月2万円以上の出費増となります。

娘のB子さんもパートで家計は苦しく、「これ以上の出費は無理」と市役所の介護保険担当課の窓口に相談に来ました。「出費が大きいので何とか安くしてもらえないの?」「ショートステイを減らしたら、私が仕事をやめなければならなくなって、食べていけなくなる」と切々と訴えるB子さん。担当職員は「世帯全員が非課税でないと軽減できない」と繰り返すだけ。B子さんは、「高い保険料をとっているのに何で安くできないの!」と叫んで役所を後にしました。

ショートステイを毎月1週間に減らしたため、B子さんが、仕事に行っている間、Aさんは、一人で家に放って置かれるようになってしまいました。

● 介護タクシーもベッドも取上げられ

Cさん(女性79歳)。一人暮らしで、リウマチのため手足は不自由ですが、介護保険でヘルパーに週2回来てもらい、起き上がりが難しいため介護ベッドと家の近所は坂が多いので電動車椅子をレンタルし、月2回の通院には介護タクシーを利用していました。「私は介護保険のおかげで一人でも生きてこられた」とケアマネジャーさんに感謝の言葉を毎月言ってくれるほどでした。

ところが、介護保険見直しで、Cさんはそれまでの「要介護1」から、「要支援2」に変わりました。するとケアマネジャーは、「介護タクシーは要支援になると使えなくなります。介護ベッドと車椅子もレンタルできなくなるので返してください」と説明。びっくりしたCさんは、「私に必要なものばかり。何とかしてください」と平身低頭してお願いすると、ケアマネジャーは、「通院は普通のタクシー代払うしかありませんね。介護ベッドと車椅子は業者から買い取ったらそのまま使えます」と答えました。介護ベッドと車椅子は買い取ろうとすると20万円以上になり、月10万円の年金で府営住宅で暮らすCさんにとっては大金です。医療費もかさむ上に通院に高いタクシー代までかかるようなれば通院回数を減らさざるを得ません。

Cさんは役所の窓口に来て「ケアマネジャーが鬼のようなことを言う」と訴え「何とか今までどおり使わせてもらえませんか」とお願いしたが、担当職員は、「要支援の人は、介護サービスに頼ると介護予防にならないので制度が変わりました。自分でできることは自分でしてもらいます」と返答しました。Cさんは「自分でできないから介護保険でお願いしてるんです。まるで鬼のような介護保険ですね」と言ってとぼとぼと帰っていきました。

● ますます悪くなる介護保険で職場は深刻

介護保険は2005年6月に「介護保険改革法」が国会で成立し、大規模な見直しが行われています。
昨年10月からは、これまで保険給付の対象だった、施設利用者の食費・部屋代が全額自己負担に。昨年6月の改悪法成立からわずか3ヶ月での改悪実施で市役所の窓口は十分な準備もできないまま、混乱しました。自治体としての独自軽減策も大阪府内では大半の自治体は行っていません。

さらに今年4月からは、要介護度の軽い人がこれまでの介護サービスを利用できなくなる「新予防給付」が実施されます。その担当の機関となる「地域包括支援センター」が各自治体の責任で設置されますが、多くの市では、ありあわせの人材で、今年4月スタートに間に合わせました。そのため、「高齢者3000人〜6000人に保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャー各1人」という国基準にも達しない不十分な状態です。こんな状態で多くの「介護予防プラン」を担当せねばならず、利用者の中には「このままでは『ケアプラン待機者』がでる」と心配されるほどです。

● 介護保険料値上げ24%(全国)大阪府内平均は、なんと35%!!

一方で、65歳以上の高齢者が支払う介護保険料は、この4月全国一斉に大幅引上げ。全国平均は24%アップですが、大阪府内の引上げは平均35%、高いところでは、月5000円以上の保険料を非課税の高齢者の年金から天引きするところもあります。多くの市町村の介護保険財政が増大する介護サービス費に対応できなくなっているのです。

各自治体の介護保険担当職場では、相次ぐ負担強化と介護サービス利用抑制に対する高齢者や家族からの苦情や相談に頭を悩ませています。

大阪が介護保険料が高いのは、介護保険の認定を受ける人が多い 大阪南部を中心に、介護療養型医療施設(介護報酬が高い)が多い 在宅サービスに新規参入が多く、利用者が増加しているなどが原因と考えれてます。

「改正」介護保険料(06年4月〜)の基準額
(本人非課税)月額最終確定値     
※大阪社保協調