>>ごいっしょに考えましょう!府民の財産・府立施設を勝手に廃止・統合していいの? |
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[UpDate:2008/4/20] |
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「なるほど、そうだったのかこの施設あの施設」
府立の6施設を視察して・・・4/13 施設現地視察報告
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4月13日、大阪府の改革プロジェクトチームが出した試案の27施設について、そのうちの6施設を視察するツアーが催されました。主催したのは「府立の施設を府民とともに考える会」(仮称)。マイクロバス2台に分乗して、2コースに分かれて視察しました。第1班は「青少年会館」「なみはやドーム」「ワッハ上方」の3施設、第2班は「弥生文化博物館」「ビッグバン(大型児童館)」「国際児童文学館」の3施設。
●青少年会館(大阪市中央区)
青年が集まってくる文化のたまり場
館長から施設案内。その後財団労働組合役員と懇談。大阪各地から青年が集まっているたまり場的な存在。玄関前の劇場スペースで、劇の発声練習をしていました。青年たちが演劇や音楽演奏、芸術活動を行う施設、プラネットでは劇団が本番上演。2階のロビーでは、芸術に打ち込む青年たちが集まり、連休中に道頓堀で開かれるイベントで飾る横断幕を作成していました。「青少年会館がなくなったら困る。若い人たちが集まる場所が少なくなってきているので」という不安の声もありました。
●なみはやドーム(門真市)
大規模なスポーツ大会の調整はどうなる
最初に施設を案内するビデオを視聴。その後、施設管理者から案内をしてもらいました。 スケートからプールに転換工事中のメインホール、子どもたちの水泳大会が行われる再度プール、青年のフットサル大会が行われていたサブアリーナ、会議室、貴賓室などを見学。
府立体育館がなくなると大相撲春場所がここに来る可能性があるが、施設管理者の説明によると「具体的な協議はこれから」ということ。「大相撲が来ると土俵に土砂10トンが必要」「桟敷席は府立体育館専用なので新しく作り直す必要がある。ここは床面が柔らかいので構造上できるかは検討がいる」「臨海スポーツセンター、府立体育館なくなれば大規模なスポーツ大会の調整が大変になる」という声が聞かれました。
●ワッハ上方(大阪市中央区)
寄贈した人から『返してほしい』の声も
入場口には「ワッハ上方存続を求める署名にご協力ください」と署名台が置いてありました。館長、学芸員が案内、説明してくれました。利用者には見せていない資料室にも入らせてもらい、寄贈を受けた貴重な資料が保存されていました。「会館の運営は非営利のNPOが指定管理者となって運営する。運営は黒字。赤字宣伝はまちがい」と館長の説明。さらに、「寄贈をして頂いた方にとって、寄贈品は自分の人生、家族そのもの。ワッハがなくなると聞いて、寄贈してくれた人から『返してほしい』」と言われている」と付け加えました。
参加者からは、「歴史的な資料の寄贈など上方演芸に特化して集めていることを初めて知りました。そこに働く人たちから『本当に残して欲しい』という想いが伝わりました」「館長の熱心な説明に心打たれた。『みなさんと同じ説明をしているのに、知事にはどう聞こえたのか・・・』という館長の言葉に、今の府政の異常さに憤りを感じておられる姿を垣間見た想いだ」との声がしきり。
●弥生文化博物館(和泉市)
日本で唯一の弥生時代専門の施設
国道26号線に面して建っているのが弥生文化博物館。副館長から館内の案内と説明。日本で唯一の弥生時代専門の博物館。博物館に隣接している「池上曽根遺跡公園」も見学。そこには広い公園に弥生時代の高床式の家屋が復元されていました。さらに、博物館のフロアを市民に開放しており、この場所を活用したイベントやコンサートは全国から申し込みが殺到しているといいます。遺跡を守ると同時に、地域の文化の発信地の役割も。
「ここでしか見ることのできないであろう、木の器や木製鍬などの展示が興味深かった。池上曽根古墳のすぐそばにあることからこその弥生文化を学ぶことのできる博物館であり、施設の統廃合では意味がないと思った」「弥生時代の専門博物館であることを前提に、地域の文化の拠点としての意味が大きいと思います。博物館は地域の人々のアイデイティティに関わるものであり、2つを1つにしても同じというものではない」との参加者の声。
また、この博物館の建設にあたっては、地域住民の30年以上にわたる遺跡の保存運動が背景にあったことがわかりました。
●ビッグバン(堺市)
児童を対象にした公共の施設としてのあり方は
泉北ニュータウンの泉が丘駅前にあるのが、「ビッグバン(大型児童館)」。漫画家の松本零士さんが館長。土曜日とあってか館内は親子づれの人でいっぱい。入場料金が大人1000円、子どもも3歳以上は有料、おまけに館内の遊戯ゾーンに入るには別途料金を徴収スルシステム。親は相当な出費です。フィールドアスレチックもありましたが、もともとこうした施設は野外にあってこそ意味があるのでは・・・という思いも。
参加者からは「建物の中では親子連れが多く、楽しんでいたように思われるが、昔ながらの遊びを継承するという所ではない。そういうところも取り入れてこその公の施設の存在意義があるのでないか」「あまりの商業的運営に大きく失望。ME、プラスチックなどを使ったあそび空間、有料のクッキングコーナー、お粗末な中途半端な『まち』コーナー、入館料の高いこと。無料になぜしないのか」「まるでテーマパーク。公で運営する必要があるのか。食堂でビールを販売しており、違和感をもつ。まるで行楽地のようだ」という声もありました。
●国際児童文学館(吹田市)
世界に誇る貴重な「文化財」そのもの
最後の視察は「国際児童文学館」。専務理事と主任研究員が丁寧に案内し、説明をしてくれました。とくに、こうした児童書専門の施設は日本はおろか、世界にも貴重な存在であるここと。本を貸し出す図書館との違いは、出版された児童書を本体にはもちろん、カバーもラベルや印字をまったくせずに、そのままの状態を保存していること。約70万冊の蔵書は世界有数の量。書庫を見せてもらいましたが、明治時代から現代までのあらゆる児童書がびっしり。「なかよし」「少年」「怪傑黒頭巾」などの蔵書に、団塊の世代のメンバーからは「ほうっ」と、懐かしさとため息とが洩れました。こうした書籍や雑誌も閲覧が可能といいます。研究員は年間約5000冊の新刊書籍にすべて目を通すといいます。説明のはしばしには仕事への愛着と自負がにじみ出ていました。
「ここはこどもたちに文化を語り伝えていく、こどもの未来を大事に育てる場として、大変大きな役割をしている施設であると思います。館の人も多数にし、府民に広く存在を知らせていくことも大事」「ここは図書館でなく文化財であるこどもの本を集約して研究活用するための施設であることがよく理解できました。地味であるが大阪が世界に誇ることのできるもの。これは絶対に存続を」
「この施設の役割をなくすことは大阪に限らず国際児童文学館にとって大きな損失であり、充実させて残すべきだと思った」との感想がでています。
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