2010年9月17日 大阪自治労連書記長 大原 真(談話)

1.本日午後1時10分、大阪高裁において枚方市非常勤職員に対する「損害賠償請求及び不当利得返還請求控訴事件(住民訴訟)」の判決が言い渡された。判決は、地裁判決にあった非常勤職員の敗訴部分を取り消し、返還請求も棄却するとする全面勝訴の内容であった。
2005年1月の提訴から5年8カ月、地裁での不当判決からでも2年近くが経過しての判決であったが、多くの仲間に支えられ、何よりも当事者となった枚方市に働く非常勤職員の社会正義を貫く奮闘がこの裁判闘争を支え、勝利を勝ち取ったものである。改めて、ご支援いただいた全国の仲間のみなさん、裁判闘争を攻勢的に進めていただいた弁護団のみなさんに御礼を申し上げるとともに、枚方市職労及び「たたかう会」のみなさんに敬意を表するものです。
同時に、「人間の尊厳をかけた、社会正義を貫くたたかい」(市本枚方市職労委員長)としての訴えに正面から応えていただいた大阪高裁の良識ある判断に敬意を表したい。

2.今回の裁判は、05年1月に枚方市の住民より当時の枚方市の中司 宏市長らを被告として、枚方市の非常勤職員への特別報酬(一時金、退職手当)の支給が地方自治法等の関係法令に違反し不当な支給であるから、市へ返還するよう求め提訴されたものである。この支給をうけた非常勤職員の多くは自治労連枚方市職労の組合員であり、本裁判へ補助参加した。枚方市では、学校の宿日直代行員、国民健康保険料徴収員、保育士(時間外)、肢体不自由児介助員などの職種において、正規職員では対応することが困難な夜間業務や時間外業務等を担う者として「一般職非常勤職員」と呼称される職員が採用されてきた。枚方市職労では、「非常勤裁判をたたかう会」を組織し、この裁判を当該組合員だけでなく、非正規職員全体の処遇改善を図る闘いの一環として位置づけ、とりわけ「自治体構造改革」のもとで公務職場においても3人に1人が非正規職員とされ、その業務は従来の臨時的・補助的業務から、継続的・基幹的業務に急速に拡大し、その処遇を司法の場がどのような判断を下すのかが注目されたものであった。
08年10月の大阪地裁判決では、枚方市の非常勤職員がその職務の実態からして地方自治法第204条1項の常勤の職員にあたると解しつつも、非常勤職員に特別報酬を支給したことは、枚方市の条例が具体的基準を欠き、地方自治法の規定する給与条例主義に反しているとの不当な判決を下した。

3.大阪高裁判決は、「本件非常勤職員が『非常勤職員』と呼称されることに法的な意味を認めることはできない」として、(地方自治法)「第204条所定の『常勤の職員』に該当する」(判決文P18〜19)と地裁判決を支持するだけでなく、「地方自治法172条において『常勤の職員』の人数が条例で定められた定数を超えることができないものとされている関係上、本件非常勤職員を任用することによって上記定数を超えてしまうことのないように、形式的に『非常勤の職員』として採用せざるを得なかったからにすぎない」(同P19)と断定した。職務の実態はもとより、当局が定数条例との関係で形式的な採用として「非常勤の職員」と判断したことの意味は大きい。今後、各自治体当局が「自治体構造改革」の圧力に委縮することなく、「住民福祉の向上」のための行政執行体制をきちんと説明し、定数条例の改正を含む自治体のあり方を整理すべき時代の要請を認識すべきである。
 次に、給与条例主義との関係でも「給与条例自体にすべてが規定されるのが望ましい」としつつも「具体的基準及び具体的数値が明確に規定されなければならないとか、条例によって手当てに関する具体的な支給要件、額、支給方法を規則等に委任することが一切許されないものとは解されず・・許されている」(同P20)とし、「給与条例主義の趣旨である地方公務員の給与に対する民主的統制の要請に反するものとはいえない」(同P22)と判断した。
 また、退職金や一時金の返還請求についても「任用手続きが公序良俗その他の社会正義に著しく反するものであったとか、重大かつ明白な瑕疵が存したものであったとかなどの特段の事情がない限り、支給された給与については、命ぜられた職務に従事したことの対価及び生計の資本として受け取るものができるもの・・・不当利得として返還する義務を負わないと解するのが相当である」(同P32)と判断した。

4.判決後の勝利報告集会で当事者の一人である延長保育士の?さんは「5年前に裁判所から1通の封筒が届き、はじめは意味もわからなかった。個人なら泣き寝入りしていたと思う。(裁判がなければ)行くこともないところにも行って、みんなが力を貸してくれて感激した。ここまでやって来れたのも、みんなのおかげです。」と感想を述べた。改めて団結の力に感動するとともに、弁護団からは「この判決はゴールじゃない。(同じような仕事をしていても)正規職員の半分でしかない。均等待遇に向けてさらに奮闘してほしい」との激励もあった。
 府下には自治体職場だけでも2万を超える非正規職員が働いている。任期付き職員制度の導入や雇い止めも発生しており、均等待遇の立場からの処遇改善、一時金・退職金制度の確立、雇い止め阻止など私たちが乗り越えなければならない課題は多い。大阪自治労連は府下の自治体当局が今回の判決を真摯に受け止め、非正規職員の処遇改善に誠実にとりくむことを強く要請するとともに、引き続き団結を固め、非正規職員の処遇改善と住民福祉の向上に資する自治体づくりに全力をあげる決意を表明する。
 


 >>枚方非常勤裁判 高裁で全面勝訴!原告の請求を棄却 [2010.9.18]

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