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暴挙!橋下大阪市長は憲法違反の思想調査(職員アンケート)を即時中止せよ(談話) [2012.2.13]

2012年2月13日
大阪自治体労働組合総連合
書記長 荒田 功

 大阪市の橋下市長は2月9日、「労使関係に関する職員のアンケート調査」を一方的に実施した。その内容は、職員に氏名・職員番号・所属部署を書かせたうえで、「組合加入の有無」や「組合活動への参加」、「組合に誘った人の名前」まで回答させ、他の職員の政治活動や組合活動の告発を迫るという、およそ常軌を逸したものである。
 さらに、「職員アンケート」は「市長の業務命令」(職務命令)として発せられ、「正確な回答がなされない場合には処分の対象となりえます」と市職員を恫喝しているのである。
 この「職員アンケート」は、職員のプライバシーや思想信条の自由(憲法19条)、組合活動の自由(地公法の制限はあるものの)を侵害する明白な違憲行為であり、市長としての職権濫用である。

 「アンケート調査」について橋下市長は、「市の職員による違法ないし不適切と思われる政治活動・組合活動」を、「特別顧問のもとで徹底した調査・実態解明を行っていただき、膿を出し切りたい」としている。
 そもそも、「違法ないし不適切と思われる政治活動、組合活動」に問題があれば、当局が調査をし、適切に対処、処分をすればすむことである。
 橋下市長は、大阪市の職員が今どんな気持ちで働いているのか、考えたことがあるのだろうか。職員は市長の奴隷ではない。現代の「踏み絵」ともいえる今回の「職員アンケート」は、「処分」「命令」「免職」という言葉で職員の不安をかりたて、思想・良心の自由を侵害し、人格権を侵害するものである。
 「市長の業務命令」(職務命令・地公法32条)というが、その要件は「職員の職務上に関するものではなく、職務と全然関連のないような私生活に関するものには及ばないし、職員組合の活動への干渉のように行政庁の関与が禁止されている公務員の活動には及ばない」とされている。さらに「重大かつ明白な瑕疵がある場合は、職員は職務命令に従う義務はなく、かつ従ってはならない」とまでされているのである。今回の「職員アンケート」は、市長の職務命令権を逸脱し、濫用したものであり、回答を強制されるようなものではない。
 また、「職員アンケート」は労働組合に対する支配介入そのものである。「組合費がどう使われたか」「組合加入のメリット」「組合加入しないことによる不利益」など、実名で調査することは労働組合の存立・運営に対する重大な介入であり、不当労働行為そのものである。
 今回、橋下市長はマスコミに対し「職員には今までの価値観を変えてもらう」「いやだったらやめりゃいいだけの話」などと公言している。しかし、選挙で選ばれれば何でもできるわけではない。市長は特別職の地方公務員であり、当然憲法を遵守し、法を遵守する立場である。

 憲法の理念を尊重し、住民の福祉の向上をめざすことが地方自治体の使命であり、選挙で選ばれた首長はその使命を果たすことに力を尽くさなければならない。
 大阪自治労連は橋下市長に対して、思想信条の侵害と不当な労働組合への弾圧を狙う「思想調査」をただちに中止するよう求めるものである。

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