自立をめざす都市自治体フォーラム


- 分権と協働によるまちづくりを考える -


第二部 シンポジウム:都市自治体における分権と協働を考える


-加茂利男(コーディネータ)-

ありがとうございました。それでは藤永さんお願いします。


-藤永のぶよ(おおさか市民ネットワーク)-

 私は、3人のお話を聞いていて、とても同じ時代を生きている、同じ国の行政に関わるものとは思えない。私らも1回でもいいから立派な報告したいとしみじみ思いました。
 1989年の大阪市役所公金詐取事件から15年、もう公金詐取の運動ばっかりやっていやになっています。しかし、「黙ってへんで市民は!」ということから始まったのですが、ほんとうに黙ってられへんのです。私たちも声を大きくしなければ、中で一生懸命働いている、きらりきらりと輝く市職員のみなさんも浮かばれないのです。どうしたらほんとうに私たちが住民自治、自治としての活動が花ひらくようになるのかを少し聞いていただきたいです。


■大阪市の中心で「不満」を叫ぶ!


 ほんとうに私のところみたいにな市民運動にも、「あんたらの運動いったいなにしてまんねん」と言われて、なんで私が怒られなあかんというぐらいに電話がいっぱいかかります。その中の特徴は、一番大きな三セク問題にはふれてないことです。「3万円の背広はけしからん」「8000円の残業もらってけしからん」と、身近なお金では怒りはすごいのに、数百億、何千億の赤字を税金で埋めたとか、そういう怒りにはなかなかならないと私は思いました。人の数も、予算も4兆4000億円、扱う予算金額も、大きすぎたら怒りもでてこえへん。やはり小さく、小さく、することがいちばんええ。怒りの電話は大体30分ぐらいずっと怒ってはりますから、それを十分聞かせていただいてから、「ところでね」と返していくので、大体1時間ぐらいかかる。でも丁寧に大阪の中心の不満を聞いています。

 大阪市の厚遇問題は、初めてではありません。1989年の11月に同じようなことがありました。これは公金を飲み食いに使う。議員さんも北の新地でありもしない「ナイトラウンジゆうこ」というのをでっち上げて、そこで飲み食いしていたのを全部税金でつけ回しにしてきた。そのときにカラ残業もあったんです。それを含めて私たちは情報公開請求し、監査請求をし、裁判をし、そして1995年3月に和解しました。そのときに、忘れもしません、責任者の課長さんが「二度とこういうことは起こしませんから」と言われて、私たちは言いたいことを言って、和解したのです。ですから私は今回の問題は、理事者に責任があると思っています。どうあってもそこを改めなかった当事者、「一番の責任者出てこい!」というのはそこだと思っています。

 10年間ヤミのカラ残業、形を変えてきたわけですが、その間、助役出身の市長さんが情報を非公開で巨額の借金と赤字三セクをつくってしまった。その15年前には積立金を市民の暮らしのために出せという、そのときの積立金が6000億ぐらいあったんです。いま借金が5兆6193億円、この責任者をやはりキチッと市民の前に引っ張り出してきて、責任をとってもらわなあかん。

 職員のことで、厚遇、厚遇とあまり言わないでほしい。カラ残業、カラ残業とゆうけど、大阪市にはタイムレコーダーがなくて、帳面につけているのです。帳面につけるということは恣意的にできる。その方法が残業代を節約するのにうまく機能してて、誰が管理しているかとゆうたら、私からゆうたら牢名主のような方が各職場で管理をされていて、ほんとうに心ある職員もそういうことに刃向かうことができないシステムの中でこういう問題が起こっている。そういうシステムをつくっていることに私たちは怒っているわけです。

 背広の厚遇だって、その影で実は何か公共入札の問題があるはずやというので、10年前から被服費の情報請求をずっとやっていました。そういう努力の成果がありまして、たまたま今回の背広もそうですが、毎年10年間、同じ業者が入札を落としている。もしくは2社で交代落札している。こういう癒着の問題こそ背広の問題の影に隠れているというふうに思っています。

 私たちはなんべんでも監査請求をするわけです。そのときに壁になるのが監査委員会です。この間久しぶりに赤字三セクへの税金投入はけしからんという監査請求を2月22日にやったのです。10年ぶりぐらいで監査委員会の説明会へ行ってびっくりしました。監査委員長が忘れもしない15年前に疑惑の議員さんやった、その人が監査委員にいてる。

 情報公開もまだ返事がきていない。未だに黒塗りです。非公開はけしからんということで、まもなく意見陳述会があります。今回、オンブズマンの辻弁護士が改革委員会に入られました。辻先生を私は大いに応援したいと思っているのですが、この監査委員とか、情報公審査委員を代えてもらいたい。ここに住民の代表を入れるための運動をしたいと思っています。

 2つ目に、この間やった巨大三セク、これがどれだけ理不尽か。これはみなさん、涙なくしては語れないです。個人の財産をこのように無茶苦茶に使ったら罪になります。税金をこない使っても罪になれへんのかと言いたい。

 たとえば貸してあるお金を株式化したというけど、当時1株50000円やったような株を、1株1円にして大阪市が買い取って、そんなん配当あるわけない。これは違法な出費やということから始まって、いろいろ出しているわけですが、だいたい、この3Kといわれるところに、名だたる銀行が役員として入っている。ゼネコンも入っています。そのゼネコンはこの3Kで大体2200億の受注を、それから銀行は2600億貸し付けた。利息182億儲けている。

 ATCに対する監査請求をしました。1つの建物の駐車場を買うた。「なんでそんなん買うねん!」という監査請求をしたのですが、適正に運用されているということで、簡単に却下された。それから助役さんがこういう3Kのところに副社長して入ってはる。この人はいったいどういう経営会議に出ているのか、経営会議の資料を請求した。そうしたらこの方は個人の資格で役員として派遣されているから、それは公文書にはならないということで、非公開、市民には経営内容は全然分からなかったのです。私はそのとき捨てゼリフのように「分かりました。個人の資格で行かれているのだったら借金も個人で払ってください」と。いま見事につけ回しされている。

 こういうことがいっぱいありながら、そういう開発の組織に天下り、役員幹部として天下っていったのです。そしてそこから借金です。その借金を特定調停と言いますけど、30年間先に行う。まさに孫や子どもにこの巨額な借金のツケをまわしていくということが、私は許せない。この3Kだけではない。つぎは大阪ドームです。なんでクリスタ長堀という地下街、なんで地下街を市役所が買わないとあかんねん。それからUSJ、フェスティバルゲート、キッズプラザ、弁天町のオークがある。もう目白押しなんです。こういう理不尽な税金の使い方をやめさせたい。これが私たちのこういうことをしないと市民も職員も浮かばれない。だから手をつないで、この市政をほんとうの意味で改革していきたい。で私はどうしたいか。やはり小さく、小さく、小さくする。大阪市には24区役所があります。東京都のように自治区、とりあえずは区役所を市民の活動拠点に開放したい。市民参画、文字通り実践のためにシステムを改革するための私案として5つほどあげています。

 いまの大阪市版の市政改革では他力本願です。よそから誰か連れてくる。中にも優秀職員いっぱいいているのに・・。そんなん自力ではない。1998年、市の総合計画21が策定された。その当事者が地区計画策定を当時の西尾市長は指示したらしい。それが頓挫してしまっている。その理由を「市民が主体になるという機運が盛り上がっていなかった。あるいはわれわれにそれを吸収する力がなかった」とゆうてはるねんけど、なんてゆうことをおっしゃった。もう私たちはすでに市民活動して裁判など、いろいろやってきていたわけです。もし機運が盛り上がってなかったら、よけいにそういう組織をつくって、市民を巻き込んで、自立型の自治体にしていかなあかんかった。ここでは私は市民を無視している、バカにしているということで腹が立ちます。

 デンマークにはコンセンサス会議というのがありまして、市民と専門家が一緒になって1つのテーマで共通認識になるような学習をつみながら、そしてテーマに沿って改革案をつくる。たとえば遺伝子組み換えをどうする?という話だったら、導入するかしないかを含めて議論する。こういうやり方をほんとうにいま改革委員会の中に取り組まなければいけない。情報公開審査会の委員、監査委員には住民代表を入れないといけない。条例はすぐに改定し、行政情報を原則全面公開にする。区役所改革し、住民自治の拠点にし、そしてそこに住民が集まり、区の情報も全部公開されて、そこでまちづくりについての論議が常にできるようにしなければいけない。まだ大阪市は毎年同じ金額の香典が支払われている。毎年同じ数の人が死にはるのでえすかと質問せなあかんほど支給されている。

 いまNPOとかNGOとか言われていますが、私はSPO、スペシャル、ソーシャル、プロフィット・オーガニゼーション、スペシャル目指してがんばりたいというふうに思っています。

 大阪府下全体で食糧の自給率2%です。エネルギーの自給率なんてゆうたら大阪市はゴミ発電ぐらいでほんとうにさみしい状態です。これで自立といえるのでしょうか。やはり生きていくために絶対に必要な食や農、エネルギーや、そういう問題も視野に入れたまちづくり、都市づくりがやられていくような、そういう話をまちの隅々でされる。私は都島区というところに住んでいます。新住民がいっぱいで、ですから都島区から任意の地区住民評議会をつくりたいと思っています。


-加茂利男(コーディネータ)-

 ありがとうございました。長野、世田谷、2つの地域をベースにして都市内分権というお話がございました。実は都市内分権というのはいまよりももっと熱く語られた時代があったのです。1981年、昭和56年に建築基準法と都市計画法が改正され、いわゆる地区計画制度というのが設けられ、一定の地域の中に住んでいる住民が実質的にちゃんと同意しているというふうに考えることができれば、その地方における土地利用の規制、都市計画については住民の手でそれを決めるということができるというようなことでした。あるいは少なくとも市は住民の意向を尊重しなければいけない。そういうような制度がコミュニティの住民の手によって、少なくとも都市計画を住民がコントロールする、そういう制度がはじめてできた。それを背景にしてスタートしたのが東京の世田谷区、中野区、神戸の真野地区での住民の取り組みでした。

 これは自治を改革していく流れになるのではないか、ということを期待し、私もずいぶんご紹介したことがあります。意外とそれがうまくいかなかった。私がいちばん付き合いがあるのは神戸の真野地区です。真野地区はいまでもほんとうによくがんばっているのですが、それにも関わらずまちづくりの中心的な担い手たちがほんとうに高齢化してきている。そうこうするうちに今度は合併問題が出てきまして、合併した自治体に対しては旧市町村単位の地域審議会とか、地域自治区とかいうものを認めてもいいですよ、というのが出てきたわけです。

 80年代以来語られていた都市内分権をするのだ、というのではなくて、合併を押し通すためにいってみれば一種のあめ玉みたいにして出されてきた感じで、ぼくなんかはあまりいい感じがしなかったわけです。しかし、合併をする自治体がいっぱい出てきた以上、旧市町村や集落などの生活圏における住民の共同というものをつくり出して、その力でちゃんと自治体に対してもの申すことができるような組織が必要なわけです。ですから合併特例区とか、地域自治区のような制度は活用できるものであれば大いに活用すべきだ、とくに合併した自治体は活用してほうがいいのではないかということを考えています。

 実際にはあまりメリットはないですね。地域自治区というのは、たとえばその中に協議会のようなものをつくるとか、代表をつくるとかいう場合に、それを公選するという仕組みがありません。予算が地区別に配分されそういう議論がされるということもできません。ルールを自分たちで議論して決めるということもできません。結局、行政の下請け的な事業しかできない。つまり大阪市やその他、政令指定都市の行政区みたいなことしかできないことになっている。従ってあまり魅力はない。それにしても、つくるだけつくってそれを条例でもっと強くするというぐらいの動きが出てきてもいいのではないかと思っていたのですが、あまり出てこない。

 朝日新聞が去年のはじめぐらいに一番最初に平成大合併の中で合併をした90いくつかの自治体が合併して33ぐらいになったのですが、その合併自治体に対して、地域審議会をつくりますか、というアンケートをとったわけですが、地域自治区をつくりますと答えた自治体は1つもメリットがない、「せっかく一緒になったのに、そんなもんつくっていたら分散ばっかりや」というのが理由だったわけです。もちろん最近合併した自治体の中には地域自治区をつくって地域内分権をやっていかなあかんという自治体も長野にみられるように現れています。世田谷でもそれがつかえるかどうかという検討していくというようなこともいわれました。そのへんのところを長野、あるいは世田谷ではどういうふうにお考えになっているのかをご質問をしたいと思っています。


-吉澤 猛(長野県市町村課長)-

 お答えになるかどうかは分からないのですが、先ほど説明できなかった点があります。レジメの飯田市行政区タイプの地域自治組織をご覧いただきたいのですが、飯田市では公民館活動ということで、全国から表彰されるような公民館活動がなされています。18の地区にそれぞれの公民館があり自主的な活動がされています。上村と南信濃村に合併特例法上に基づいて「地域自治区」をつくるのが今年の10月です。それとあまり時間をあけないで、現在の飯田市の中の18地区のうち、周辺の13の地区に対して「地域自治区」をつくりたいと考えております。その公民館活動を単位にして、地域の住民の主体的な活動を活発化するという意味で、行政からの自治運営制度ではなくて、そういう今までの財産を生かした形で「地域自治区」を導入したいと飯田市では考えています。


-佐藤健二(世田谷区地域情報政策担当部長)-

 世田谷区としましては、合併問題というのは東京23区の場合は現実的な課題になっていません。世田谷区の中で、今後の分権自治ということを考えた場合、行政組織ということでは効率化をせざるをえない状況があります。さきほど言いましたように出張所、廃止という話がありましたが、廃止しないで逆に地区レベルでの地域組織活性化として位置づけようではないか、ということでやってきております。そういう状況の中での、身近なまちづくり推進協議会の活性化の話が出ています。合併を背景にした地域自治組織については本格的な論議をしていない。ですから、世田谷の職員レベルでみると、世田谷区に似たようなものなのだね、なりゆきをちょっとみようか、という段階です。


-加茂利男(コーディネータ)-

 分かりました。同じ日本の制度でも、たとえば神戸市がつくったまちづくり協議会という制度は、これは神戸市の行政の中で市民が生活圏でこうしたいと決めたとき、市長はそれを尊重しないといけないのか、場合によっては、自分の地域に関する都市計画については決めることができるという、そういうかなりエンパワーメントというのか、権限をちゃんと与えられたような形で分権組織でつくられた。それをつくった神戸市の職員の方々の話を聞いてみますと、どこからそういう考え方をもってきたかというと、これをイタリアで地区住民委員会、ニューヨークにできたコミュニティ委員会とか、そういう外国で都市内分権のための制度を参考にしたということです。70年代につくられてきたいろんな制度の動きはそういう意味で輝いていたのですが、いつの間にか輝くなくなっていて、住民自治区というような雰囲気というのは、もう1つ釈然しないという感じがしないでもない。

 大阪の岸和田は、地区市民協議会がつくられた。これはよく丹念にがまんして、あれだけぼろくそに言われながらがまんし、がまんしてつくられたなぁという気がします。別にちゃんとした権限を与えられているわけではないけども、実質的にはかなり市政にプレッシャーかけるぐらい力をもっているような気がします。地区市民協議会のもっているパワーの秘密についてコメントをお願いします。


-池阪雄宏(岸和田市企画課長)-

 私は昭和50年に役所に入りましたから詳しい経緯は分かりませんが、昭和48年の市長選挙は、市民の人が結構燃え上がった選挙だったようです。市政の流れを変えたい、清潔、公正、市民本位のまちづくりを願う市民が多く、そのような市政を自分たちの手でつくりあげていきたい、結局、市民の側で潜在施敵にあったニーズが、その潜在的なものが選挙によって顕在化された。それをきっかけとして、だんじり祭りがあるけども新旧住民合い混ざってまちづくりをやっていくための手法がないか、というようなことが地区市民協議会構想の背景的なものなのかと思います。一方、春木競馬場の廃止によりまして、跡地に中央公園がつくられますが、昭和53年にはじまった市民フェスティバル、今年で28回目になりますよ。今年5月3日には7万人の方がこられて、これも春の風物詩、市民主体でやる。職員もボランティアで出て、政治的信条関係なしにみんなでつくろうということでやっている。それとも同じ背景があるのかなぁいうように思っています。市民フェスティバルに対しては市から補助金200万です。補助金200万で7万人、非常に市民の力を結集した、銭では計れない催しです。


-加茂利男(コーディネータ)-

 結局、大阪市の問題をみてますと、とにかく理事者、議会の大多数と、それから行政の職制と、それから職員組合、そういうのが全部くっついてしまうとほんとうにすごい力になる。それが何百万という自治体の単位でそういうものが成立しまうと少々、住民運動でやろうが、監査請求をやろうが、情報公開請求しようがうまく動かない。大都市の大きな自治行政というものがもっている最大の問題がそこにある。

 人口30万人以上の自治体で直接請求の運動が行政に対して成立した例はいっときまで皆無でした。神戸の国際空港問題ではじめて大都市で直接請求が成立したと言われている。それぐらい自治体が大きいということは、住民のいろんな参加・意向に対してバリアになると言われている。従って小さな単位の自治というものを積み重ねていくということと、合わせて大きな行政体に対してどういう有効な参加やチェックのチャンネルをつくっていくのか、というのはこれからの市民にとって課題となる。なかなか大阪市みたいなところでうまくいかないから、東京都や横浜ではいろんな住民の不満を吸収した強力なリーダーなるものが出てきて、それで非常にラジカルなことをやってしまう面もある。大阪市みたいなところが住民の力でうまく変えられなかったら、東京都や横浜市みたいになりますよという、そういう話にいまなっているような気がするのです。

 それから吉澤さんがおっしゃったように、合併した自治体、あるいは都市の自治体というのは団体自治の仕組みがあり、住民自治の体制というのは地域内分権の考え方というふうに言われたのですが、団体自治と住民自治というのは制度的に切り離していいものなのでしょうか。それが一体になってはじめて地方自治があるという気がするので、なんとかそれを一枚物という、重ねるというそういう努力をしないとうまくいかないのではないかという気がします。そのへんをどういうふうにお考えでしょうか。


-藤永のぶよ(おおさか市民ネットワーク) -

 そういう特効薬があったらチャッチャとやっているのですが。私たち市民の動きでほんとうに大事なのは、公務員が簡単にやり玉に使われてしまう。「リストラをやれ」「市役所はいらん」という人もいてる。東京みたいに都一本でよろしい。大阪市民260万が流浪の民になってよろしい。東京みたいになったらよろしい。「でも東京は区が自治体ですよ」というと、「そうでっか」という感じなんです。そういう人にそういう話をしたら、「それがよろしい、区役所を自治体にしましょう」と言わはる。それこそ、不満のもっていく場所、自分がどう参加したらええかというしくみ、どっかに見本をつくらんとあかんのです。私はいま燃えております、都島に、人が認めようがなにしようが、かまへん。私が地区住民評議会やというのをつくって、区役所にさんざんにいって、はじめはうるさないなぁとおもわはるかしらんけど、だんだん部屋も貸すやろと、そういうふうになんかどっかでね。いつまでも監査請求したりやっていると、ほんとうの意味の地方自治つぶしの道具に使われる。だから区役所にいてはる、小さいくも輝く自治労連の労働組合といっしょに進めていきたいと思っています。


-吉澤 猛(長野県市町村課長)-

 説明の中では団体自治と住民自治を切り離したかのような形で受け取られたかもしれませんが、私が申し上げたのは、今は専門的な行政サービスの部門と、基礎的自治体の中では福祉とか医療とか、小さな単位で提供するのが顔がみえましてやさしい行政になるという部門の2つがあると思います。そういう分野では提供するのをもう少し、小さい単位で自治体の中に細かく分ける、もう1つはもうちょっと大きな単位で分ける、こういう重層的な自治と言いますか、そういうものを進めていく必要があるというふうに申し上げたのです。


-佐藤健二(世田谷区地域情報政策担当部長)-

 大阪市の話は感想になってしまうかもしれませんが、実はスーツの問題がありましたね。あれが世田谷区のほうに飛び火しました。どうなんでしょうかね、ヤミ退職金制度がありましたね、あのへんの話はちょっと区役所の中でも、ああいうことは普通はないですね。関西さんのほうはすごいなぁ、報道特集はかなり話題になりまして、エエッという感じで、関東のほうもまだタイムレコーダーではないのですよ、出勤簿なんですけども、ああいうことはないという状況はありますね。ちょっとその問題についてはコメントが難しいところがありますが。

 団体自治と住民自治の話がございましたが、行政の縦割りもあるけども、住民のほうも縦割りもあるという話がありましたね。このへんはかなり実践的な課題としては非常に根深いものがある。縦割り行政というのを改めるために平成3年に総合支所をつくって地域レベルで総合的な行政をするということではじめたのです。推進協議会もできるだけ垣根をはずし、壁をつくらないということでやってきていますが、結構、もともと歴史的土壌というのか、これから議論になると思うのですが、関西さんのほうは阪神淡路大震災が起きてはじめて、真野の地域のつながりの成果がそこで出た。阪神淡路では世田谷も応援行きましたが、当然、真野の話が、非常にあそこは災害が少なくて済んだというような話が、世田谷の中の話にも出ていまして、まさに東京直下型地震が必ずくるという状況の中で、いま安全、安心のまちづくりをいかにやっていくか、ということが大きな課題になっています。ですからテーマもいままで環境とか、ゴミとかいろいろ地区の自主性でやってきているのですが、防災、防犯というところのテーマでやったらどうかという意見が出ています。新たな活性化のための仕掛けというのを、身近なまちづくり推進協議会の委員の中で打ち合わせをしている状況があります。いま世田谷区には15ほど街づくり協議会があります。街づくり条例を全国ではじめて作っていますが、そこに地区計画制度の手続き条例として、必ず住民の意見を聞かなければならない、意見を反映するという取り組みが行われています。街づくり協議会の取り組みで生きております。問題は、長野県さんは構想をお持ちで、発想、方向性としては世田谷区とまさに同じで、長野県さんの元気を感じるものがありますので、今後、参考にさせていただきたいと思います。

 合併に伴う地域自治区というのは、下請的なネライというのがあるのかもしれませんが、いいところは使っていこうではないかというようなスタンスでみてみる必要もあるのかなぁと思っています。


-加茂利男(コーディネータ)-

 ありがとうございました。合併といい、自治体のリストラといい、自治体関係者としてはどっちかというとずっと守りの、しんどい話が続いたわけですが。やはり同じことをちょっと見方を変えてみると、今度その背後に新しい小さな自治区が大きな行政区にせまっていく自治のチャンスが、まったく途絶えてしまったわけではないんだ、続いているんだ、というふうに考えてもいいのじゃないかというふうに私は改めて思いました。たった30分ではございましたがいくつか重要な論点について議論ができたかと思います。

 今度はフロアのほうに話をまわしたいと思います。フロアの方々の中で、きょうの基調講演、報告をめぐってのご質問、ご意見等がございましたら手を挙げてお話いただきたいと思います。


-発言-

 シンポジウムの発言をお聞きしておりまして、自立のためには住民の意見を聞くことが大事であるということでした。高石市も阪口市長になりまして、市民改革委員会という委員会をつくりました。この委員会についてはいろいろメリット、デメリットがあると思いますが、デメリットのほうばっかりが出てまいりまして、逆に私の市民のほうから言いますと、市の状況はどうなんだ、議会、行政の提案、いい条例をつくって議会民主主義でやるという、高石市は議会民主主義とかそういうのは関係ないのです。先生にちょっとお聞きしたいのですが、私はいま大阪市の問題のヤミ退職金、カラ残業とか、いろんな職員厚遇問題がありますが、大阪市の場合まだいいんです、これを返すということになりましたから。高石市なんか大阪府下42市町村の中に、入っているんです、高石市にザッとお聞きしたんで、市の苦しい中で財政は年間3億か4億円互助組合のほうに流れているわけです。議会から意見が出ました、高石はそういう声が議員の中からも全然声が出ていない。苦しいから市民の負担をあげよう、使用料をあげようとか、そんな細かいことばっかりで、肝心なことについて、行政集団、労働組合も市民にひろげようという形はとっている。加茂先生の講演でいいお話が出て、それはそれで感心して聞いたのですが、百人委員会とかいろいろ出たのですが、行政が全然進展しない。職員組合が少なくとも自分たちでこうしょうと、自分たちの意見でできないのか。幹部職員も話をしました。大阪府42市町村、大きな団体に聞いたら、そこで解決してくれということでしたが、高石の市独自で互助組合をつくることができるのでしょう。いかがですか。


-加茂利男(コーディネータ)-

衛星都市の職員の全体の互助組合を、高石独自のものにしたらどうかという、そういうお話ですね。私はやはりルールの問題だと思います。互助組合とか、共済というのは、規模の利益が必要で、ある程度大きくないと全然そのメリットないわけですね。自治体と同じで、大きいから不透明なんで、大きいからいろんな弊害もでてきやすい。そこを正す必要がある。それは私は各自治体、市民の方が、たとえば職員組合とか、その職員組合と関係のある労働組合を通して、ちゃんとチェックできるチャンネルがあるはずです。それをやればいいと思います。


-発言-

 東羽衣で親子4人で住んでいます。縁がありまして駅前再開発の裁判と、それから公立の東羽衣保育所の民営化の裁判、2つに関わっています。この裁判通じて思うことを若干発言させていただき、そしてまた質問を述べさせて頂きます。

 高石と言いますと、面積で言えば11平方キロメートル、人口は6万数千人、ほんとうの住民の自治という意味ではいい適正なところであると思っていました。この高石市で大型の公共事業が行われ財政難に陥った、そして民営化が進められ、保育所を民営化するという政策決定がなされてきた。そして行き着く先は財政困難で堺市との合併をしなくてはならない。さすがに住民のところで「合併反対」となったわけですが、大事なことは、どうしてこういう政策決定がなされてきたのか、ということだと思うのです。当局のほうから政策決定がまずなされてきたという経過が1つあります。もう1つ徹底して住民不在というか、情報非公開というものがあった。政策というのは責任をもって計画立案すべきだ、市民は事後通知で意見をいえばいい、途中でといわれたら意思決定をさまたげられる。これが市から出た公式の文書なんです。ほんとうに情けないことになっている。ぼくは再生していくことが1つの課題ですが、じゃそういう意思形成がどうしてなされてきたのか、結局、公務員、自治体の職員やというふうに思う。それから議会、議論という議論をほとんどしていません。情けないです。この2つの改革が必要なのですが、お聞きしたいのは、なぜこういう自治体ができるのか。おそらく市の中で上層部というか、出世されて市の中枢に、意思形成になるために流れるということがあると思います。さすがに、ぼくらが不利益になります。たくさんの市民からみれば、そのための意識改革ということをお聞きしたい。


-池阪雄宏(岸和田市企画課長)-

 昭和55年頃でしょうか、自治体問題を考える会という自主研究会を、有志の職員ではじめたのです。大学出た若いやつが理屈ばっかりゆうて、と言われたけども、われわれの意識としては、いろんなことを勉強し、知らなければならないし、市民の思いとどう、キャッチボールしていくのかといった問題意識をもってのことですが、意識改革というのは主体的で自発的な意志が根底になければと思いますが、結局はまちが好きかどうかです。私は岸和田がようなってくれたら良いわけで、岸和田がようなってくれたら良いという自律した市民が増え、職員が増え、どんなふうに手を握れるか、そのへんが一番大事。批判しあっているよりも、どう前向いてお互いにやっていくか。それとその自主研究会で、市会議員の方とフレッシュ議員と語ろうという催しを20数年前やりはじめました。なんでかと言いますと、職員の中に市内在住者の比率が高いんです。そこで、身近なところで職員と議員とが、お互いに良い意味で刺激になり、高まっていければと、始めたわけなんです。職員、市民、議員と3つは連通管のように底の部分でつながっている。そういう意識で30年やってきました。


-加茂利男(コーディネータ)-

 僭越ながら私が申し上げたいと思いますが、大阪市の厚遇問題、高石のいまの惨憺たる状況とか、こういう問題というのは農山村、中山間地の合併なんかゆれているようなところであまり起こりにくい。余裕がないのです。結局、高石市というのは、コンビナートができたあと、固定資産税の収入が高くて、大阪府下市町村の中で税収がずっとトップできました。大阪市は地盤沈下対策でカネを使って、あまり金持ちの都市ではないと思われてきましたけども、言ってみれば東京に次ぐ第二位の大都市で、いろんなお金があそこに集まる。そういうふうな自治体のなかで理事者と組合と政党議会が一体になって合意すればお互いに得をするからそれでええやんかというようなところでまかり通ってきたようなことがある。それが高石市とか大阪市に共通する特徴やないかと私は思っています。それがいま完全に破綻している。その破綻の中から何をどうやって、どういうルールをつくっていくのか、ということが問われているのではないかと思います。その出発点は1つはやっぱり理事者というか、市長と議会がきちんとテーブルについて話をする、議論するということだと思う。それが高石の場合にはできていない。それはどんなに市長に不満があろうとやはり議会はちゃんと開会して、市長の提案した議案に対してはまともに議論する。議論をした上であれが悪い、あれがいいということをやるのが大人です。最低限の態度だと思うのですが、それがなかなか成り立っていない。それは公共精神とか、市民性とかを失ってきた結果ではないかという気がします。それはやはり市民の方の中から100人委員会でもなんでもいいから、とにかくきちんとモノ申す人が出てこないと絶対に変わらない。それをぜひ高石市の市民の方にはがんばってもらいたいと私は思います。大阪市はそんなことぐらいで少々動きません。藤永さんが都島で地区住民評議会つくっても無理やなぁと思います。これだけ大問題になっていて、マスコミでも話題になっているわけですから、直接請求をやって住民投票に持ちこむとか、なんかしたほうがぼくはいいと思う。鉄は熱いうちに打てで、いまやったらひょっとしたら大阪市大改革するきっかけになるかもとも思いますが、そういう意味で地区住民評議会をつくるのは長期的戦略としてやって、いまはちょっとバァーと力の出ることやったらどうですか?

-発言-

 高石のNPO法人子育て支援の理事しております。ちょうどお話、普段私が高石としてこういうことが問題だということがはっきり浮き彫りされたと思います。まず第1に市長さんを攻めるわけでもなく、市議会議員さんを責めるわけでもなく、いまのこんな状態でどんなことが私たち市民にできるのか、というのを考えるのができていたということを常々思っていました。聞きたかったのは連携をとるというのは簡単なようなですが、3人いたら派閥ができるぐらいで、いまの市民の中の縦割りというのもおっしゃっていました。確かにそうです。私は本の読み聞かせも20年近くしていますが、そちらのほうの連携をとりたいと思いましても難しいことがたくさんあります。これから大地震などを想定した場合、小さなコミュニティのところから話をもっていくというのはこれをほんとうに参考になったのです。子どもたちへの危機管理ということがいま叫ばれていますが、ほんとうに各小学校、幼稚園ではいろんな取り組みをされていますが、地域で何かお手伝いをしたいと思っても何をしていいか分からない。他のところはどんなことをしておられるかもわかない、というのがまず第1番だと思う。4月24日、子どもの危機管理を考える会を催します。こういった会に来られている方が1回の講演に終わることなくもっともっとたくさん集まっていろんな話をしていけたらいいなと思います。連携するにしてもだれがコーディネイトするのか、それが一番大切だと思うのです。私たちのNPOは弱体で仲間がほしいと思っていますが、もっともっといろいろな考えていかれて、きょうお見えになった方々が小さなコミュニティから活動し、連携することが大事だと思いました。それで1つ聞きたかったのですが、議員さんて何人ぐらい来てはるのか手を挙げて頂けますか。たくさん来ているじゃないですか。うれしいです。でも全部ではないですよ。市民も職員も批判するだけでなく、こういう会でプラスになる情報交換をし、いま必死で取り組まなかったら、いまこの状態で大地震になったらどうします?マップが出ましたがほんとうにそれだけでいけるのでしょうか。私はすごく心配です。保育所であずかっている子どもさんおいて、大阪市市内で仕事をしているお母さんたちはどうやって連絡しますか。そういうことができないと思います。そういった小さなことからどんどんやっていけへんかったら、大変なことになると思っています。子ども、お年寄り、障害者の方、自分で動けない方ということをまず第一にみんなで力をあわせていきたいと思います。


-発言-

 私は岸和田市に住んでいます。高石にこういうことを申し上げたらいかんのですが、なにか私たちとちょっと違うような気がします。市民と行政が対立しすぎているのかなぁ。われわれもはじめはいろいろありました。はじめは役所に悪口ばかり言いに行きました。そのうちに市民も悪いんやなぁ、ということに気が付きました。市会議員を選ぶのも市民です。市長を選ぶのは市民です。だから役割は行政と市民がそれぞれ責任が半分半分です。それでわれわれは自治基本条例といういい条例をつくる機会に恵まれましたが、市民の義務と権利、権利はもちろん義務もきちんとを規定しようと、そういうことでやりましたので、なんかご参考になったらと思います。仲良くやっていかなあきませんし、われわれそこに座っている池阪さんにうまく乗せられているのかもしれませんが、結構楽しんで市民と行政とが共同してやってます。ぜひ高石市のお話も行政に攻撃的でしたが、なかよくやっていくことがお互いのためではないかというのが感想です。


-加茂利男(コーディネータ)-

 たのしく喜んで乗ってもらえるようになったら大したもんですね。それにはあんまり住民と自治体との間の距離が大きすぎてはいかんという問題があります。

 最後のご発言を受けてまとめのお話をさせていただきますが、この集会はフォーラムという名前をつけています。フォーラムということは横につながり、そしてそこで同じ資格でみんながちゃんと議論する。そういう場のことをフォーラムというふうに言うわけです。つまり、いろんな団体ごとに、その団体のカベを通してモノを言い合っているのではない。市民1人ひとり、ネットワークをつくって話をする。そういうタイプの集会にしたいというイメージがあったわけです。

 実はこれは集会だけに終わらせるのではなくて、自治体とか、地域をフォーラム型にしないといけないということを示しているのではないかと思います。ご質問にもありましたように、連携というか協働というか、そういうものをつくりだしていくためにはほんとうに日常生活の中で地域で日々フォーラムが行われてないとダメだというふうに思うわけです。ぜひそういうフォーラム型の地域というものをつくっていただきたい。そういうことができるコミュニティとなれば、われわれとしてはこれにまさる喜びはないわけです。しかし、フォーラム型の地域、フォーラム型の行政というものをつくっていくためには、誰かがなんかいうのを待っていてはダメです。そう思っている人間が1人でも動かないと。藤永さんみたいに1人でも動いていかないといけない。

 フィリピンの人のお話を聞いたことがありますけど、フィリピンでは3人が集まったら4つ政党ができるという話がございます。それぐらい横につながって意見をたたかわして連携するということがパーティをするという。日本の地域社会の中でいちばん欠けているのはそういうものだと思います。ぜひともフォーラム型の地域社会というものをつくっていただきけるように、きょうお集まりの市民の方は心がけていただけきたいと幸いかと思います。これできょうのフォーラムを閉会しますどうもありがとうござました。


-司会-

 きょうの集会は200名超える方々にご参加をいただきました。住民の声がとどく自治の仕組みという点で、さまざまな面から議論ができたのではないかと思います。それではパネラーのみなさんと先生にもう一度大きな拍手をしたいと思います。どうもありがとうござました(拍手)。

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-2005.5.14.-