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[障害福祉] 障害者・家族、施設にとっては、自立支援法=“自立阻害法”

>>自治体職場からの告発レポート

[UpDate:2006/5/13]

[障害福祉]
   障害者・家族、施設にとっては、
   自立支援法=“自立阻害法”

● 重度な障害ほど、負担が増える・・・

これまでの障害者福祉施策は、支援費制度や措置制度、その他各種補助制度のもとで運営・実施されてきました。2006年4月から支援費制度で提供されてきた介護や訓練に関わる福祉サービスや医療費助成などの利用料を、収入に応じた「応能負担」から、利用したサービス料に応じて負担する定率一割の「応益負担」が求められ、「サービス」を利用すればする程利用料負担がかかる仕組みに変えられました。重度な障害の人ほど、利用するサービスの種類や量が増えます。その分利用者負担も増える結果となり、利用料を気にしながらサービスを利用しなければならないことになりました。

また、通所施設や病院、ショートステイやデイサービスで提供される食費は全額実費自己負担となります。同時に、入所施設の光熱水費や個室利用料、医療費、日用品費なども全額自己負担となります。

全国でも、大阪府下でも、昨年から障害者の運動が大きく広げられ、国の制度でも、府の制度でも、若干の軽減策が講じられていますが、その問題点は変わりません。

● 障害福祉の窓口で、相談相次ぐ

  • 視力障害者が利用するガイドヘルパーや聴力障害者の手話通訳まで「利用料負担」がかかる仕組みになったから、利用を減らすしかないのか。
  • 昨年高校を卒業し通所施設で元気に働いている息子さんのお母さんは、「私のパート収入と息子の手当収入でどうにか生活をやり繰りしてきたが、4月から利用料負担となれば、生活できなくなり、通所施設を辞めるしかない」との相談。
  • 「夫が失業中で視力障害者だが、失業保険も切れ、蓄えもわずか。私がパートをやめて家にいてろということですね」と悔しそうな表情の婦人。

●「収入の低い人ほど、過酷な負担」についての問い合わせにてんてこ舞いの窓口

身体障害と知的障害を併せ持ち、通所授産施設に通う男性とお母さんが来所されたある市役所での相談です。

息子さんの特別障害者手当と障害年金、お母さんのパート収入で、年間200万円をわずかに超える収入の2人世帯。障害者自立支援法の関係で、新たに月に1万円を超える負担となります。年収200万円余の世帯にとって、毎月の生活費の1割弱の負担は極めて大きな負担です。

お母さんは「将来に不安を抱えながら、一生懸命がんばって働いてきたのに、何でこんなに負担ばかりが増えるの?」「お金がある人でも、生活がギリギリでもおんなじ『1割負担』は納得できない」と訴えられます。

相談をうける職員も、そのことは痛感。「応能負担から応益負担」への考え方の変化は、収入の低い人ほど、より過酷な状況をつくりだしています。

4月に制度が変わって、実際の費用負担が明らかになるのは、施設や事業者から請求がくる5月半ば。今でも「費用負担がどうなるの?」の問い合わせへの対応にてんてこ舞いなのに、5月にはどうなるのかと不安です。制度の利用に関わってだけでなく、生活全体に対する相談能力をどう引き上げていくのかが課題」と担当者は、語っています。

● いのちにかかわる、重症化をまねく医療制度の一本化

身体・知的・精神の三障害それぞれに「育成医療」「更生医療」「精神通院医療」の三つの制度が4月から「自立支援医療」に変わります。

三つの制度の統合のねらいは、これまでのそれぞれの制度の成り立ちや目的、対象など医療の違いは脇において「国の負担を減らす」という目的で一本化されたため、自己負担の仕組みが大きく変わることで、心臓手術や人工透析など、高額な医療費がかかる疾患ほど給付が減ることになります。

全て原則1割負担になることで、これまで「育成医療」や「更生医療」は所得に応じた応能負担、精神医療は5%負担でしたが、すべて原則1割の応益負担になることで、受診を中断・延期する人もありますが、人工透析の回数減らすことは「命取り」になりますし、通院を減らして重症化、入院につながる病気をかかえて、どうしたらいいのという相談も、今、役所の窓口に集中しています。

●「規制緩和」で福祉施設の運営や働く職員にも不安定な身分・低賃金の押しつけ

施設基準の「規制緩和」で、空き教室や民家の利用もOK、職員配置も正規職員の数ではなく、常勤換算方式となり、非常勤職員やパート職員が増えます。施設等への報酬が「日割払い方式」に変更され、休みや入院、帰省中は報酬がなくなります。1ヶ月の根拠となる日数は22日となり、これが施設の運営費に大きくしわ寄せになります。

同時に、施設に働く職員にとっては、正規職員でなく、非常勤職員でしか対応できない、今以上の低賃金にならざるを得ないなど、職員が働き続けられる、定着できる条件がいっそう困難になり、また、そのことが施設サービスの質も低下するという問題につながります。
利用者・家族、施設、働く職員にとって、「自立支援法」は、“自立阻害法”です。
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