[子ども] 親の生活がダイレクトに子どもに影響〜虐待全国一の大阪〜
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● 行き場のない子供たちある日の福祉事務所の窓口での相談です。「○歳くらいの子どもが食事も与えられずに放置されているようだが」との民生委員からの連絡です。
こんな中で、いろいろな形をとって現れてきた問題を、家庭児童相談室は、「子どもたちは今、どんな状態でいるの?」を切り口として、いろいろな「相談」としてお聞きしています。 ● 社会の変化に対応できないのが「子ども」社会構造の変化によって、個々の住民の生活は多様化しています。生活の多様化自体はそれほど悲観するものでもないでしょうが、小泉構造改革の一番の影響ともいえる「格差」の拡大、雇用の不安定化・流動化は、とりわけ成長期の子供を持つ若年層の親の生活を大きく変えています。食事一つをみても、「朝ご飯を食べてこない子」が話題になったのはもうずいぶん前のことで、「ポテトチップスが主食の子」、「夜中にコンビニに現れる子供」「夜中のファミリーレストランに小さい子どもを連れてくる若い親たち」。 就寝時間や睡眠時間にいたっては、「恐しくていえない」程バラバラだそうです。 「こうしたことが、基本的な生活リズムを身につける前の子どもの身に降りかかっている。これだけでも十分児童虐待だ。」とマスコミなどに登場する先生が唱えています。 しかし、その人の生活や人生を批判しても、なにも解決はしません。 もちろん、経済的な問題から、生活基盤がないという面が大きいのですが、親の生活パターンが想像できないくらいバラバラで、そうした影響がそのままダイレクトに子供たちにも引き継がれていきます。本人や家族だけではなく、保育所や幼稚園、そして小・中学校の先生までもが、子供から聞く世帯の生活ぶりに驚き、相談されることが多くなりました。 ●「児童虐待」現場まかせの政府も、とうとう腰をあげた法改正児童虐待による死亡事故が全国で頻繁に起こり、連日新聞をにぎわしています。大方は、事件を起こした「加害者」の生活ぶりを非難し「児童相談所や自治体の窓口、はたまた警察はどうして事故を防げなかったのか?」という記事です。 さすがに国もこうした事態に、児童虐待防止法施行後3年の見直しを行い、2004年10月に施行、「児童虐待」の定義も見直し、国および自治体の責務を大きくかかげました。すべての人からの通報で動き、各機関には通告義務を設定しました。警察署長に対する援助要請が認められ、警察も大きく動きはじめています。一方で面会・通信制限規定の緩和など施設入所児や虐待を受けた児童に対する支援などもやっと意識されるようになりました。 また児童福祉法の改正(2005年4月)では、すべての市町村に児童家庭相談の体制を作ることを課し、具体の事例対応を検討するネットワークの場として「要保護者児童対策地域協議会」の設置を義務化しましたが、ほとんどの自治体が2006年度から本格稼動するようです。 ● 大阪での状況は・・・・・・ 虐待相談件数は全国一児童虐待の直接的な原因は、親の問題・家庭家族の問題、子ども自身のもつ問題とさまざまですが、親の育児不安や対人不安なども、育ちや病気、経済的な理由から派生してきます。やはり多様化している生活の中で、適応できない親子・家庭関係が比較的大きな理由ということです。さらに大阪が目立つのは、雇用情勢の悪さや生活保護世帯の増大など、世帯の生活基盤の弱さと、都市化による地域ネットワークの希薄さが根底にあるのではないかと思われます。2004年の大阪府の児童虐待事件は、4349件(大阪府調べ)。前年より大きく増えているのは全国的な傾向ですが、大阪は厚労省が調べた全国の虐待件数(全国:32,979件)の13%に相当し、都道府県の中で一番多い件数です。 これまで大阪府は、子ども家庭センター(法律的には児童相談所)に十分な職員配置を行い、また府下の多くの市町村に家庭児童相談室を設置してもらっており、「見守りスタッフをしっかり配置しているから、たくさん見つけている。」と答えていました。確かに大阪府の体制は今でも全国でも高い水準です。しかし、児童相談所職員の人口5万〜8万人に1人(これまでは長らく10万〜13万人に1人でした。)という現在の国の基準が適正とは思えませんし、市町村にいたっては、いまだに正規職員の兼務や非常勤職員に依存し、「死亡事故が起こるまで人は増えない」のが実情のようです。 多くの事件が起こる中で、現場は日々、目の前の対応におわれており、担当職員は、まさに「ピンセットでつまむような」仕事を一生懸命にしています。しかし無力感に襲われたり、相談者の問題を背負ってしまったりと、職員自身が体調を壊すことも多く、休職者が絶えません。「小さな政府」論で「リストラ」風がはげしく吹く公務職場の中では、唯一毎年のように増員されている職域ですが、希望者も少なく、新規採用者が当てられるということも多いようです。 国の法改正は、この問題をやっと正面から捉えらえざるを得なくなった反面、市町村や地域に責任転嫁した部分も大きいといえます。現場の評価は、住民に身近な自治体である市町村に相談窓口が移るのは好ましい。しかしきちんと体制を作る必要がある。市町村と児童相談所の役割もきちんと議論が必要。(国はケースの重さでと言いますが、権限や対応が違います。)マンパワーは質・量とも充実が必要。とくに組織的な関わりが重要。専門職種や周辺職種が重要。地域に開かれた仕組みが重要(自分達だけで防げるわけではない)、と捉えています。 さらには、継続的に親子の生活を見守ること(虐待した親へのフォローアップなど)が重要で、その場の緊急避難的な対応ばかりでは足りないと思います。 そしてこのような児童虐待のほかにも、家庭児童相談所の窓口では、非行やぐ犯、養護相談や里親相談など家庭支援のしごとや、障害認定・不登校・引きこもりなど健全育成のしごと、地域の子育て支援などのしごとをしています。 ● 仕事から見える公務労働の役割緊急避難ばかりで、なかなか出口が見えない職場ですが、たしかに情報の収集やネットワークづくりなど、役所(公務労働)の優位性が発揮される局面が多い仕事です。しかし私たちはあくまで、役所だけで問題解決が図れるとは思っていません。緊急避難の手立てを打ちながら、相談者と一緒に状況確認をし、権利確認をしながら、問題点を探し出す役割であり、相談者が自分で問題を解決していくために、いろいろな社会資源や機関につなでいく必要があります。公的なサービスで完結するのは、むしろ虐待などの緊急避難の部分のみで、ほとんどが地域に依存し、インフォーマルにつくられてきたサービスを使わせてもらうことも多いです。 役所が役割を果たすとすれば、
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