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機関紙-自治体のなかま-

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本試算の結果の分析 [2005.3.26]

●本試算の結果とコメント

 国庫補助負担金の削減額、所得譲与税(05年度プラス分)、地方交付税+臨時財政対策債、地方税の変化額を合計した収支で見ると大阪府内市町村での影響額は、約330億円のマイナスです。これは府民1人あたりに直すと、3700円の財源が失われることを意味します。さらに本試算の国庫補助負担金の削減分には、交付金化したり純減になった部分は含まれていませんし、一般財源化した分のうちの金額の大きなもののみです。の意味では、実際の削減額はより大きなものになる可能性が高いといえます。

 各市町村別にみると、吹田、摂津、箕面、田尻の4団体を除くとすべてマイナスの結果です。この4団体は、試算上いずれも地方交付税の不交付団体となる団体であり、税収基盤が比較的豊かである団体では、プラスに働いた結果になっています。ただし、この地方税収増については、本試算では全国一律の数値を用いているので、この4市町についても試算通りの税収増があるかどうかはわかりません。

 一人あたりの減少額をみると、大都市(5700円)や町村部(4500円)で比較的大きな額となっています。大阪市では、人口が大きいため、所得譲与税の額も大きくなっていますが、今回の国庫補助負担金の削減で公営住宅の家賃補助が改革対象になり、この額が今年度で75億円削減、引き続き来年度も同程度の額が削減されます。このような大都市ゆえの政策領域の国庫補助負担金の削減の影響が大きなものになっています。

 大阪府にも、10の町村が存在していますし、人口が10万人以下の市も10を超しています。これらの市町村では地方交付税への依存度が比較的高くなっています。本来、この地方交付税の一部である臨時財政対策債の発行可能額が、04年度の28.8%に続いて、05年度も23.1%全国一律に削減されています。これが、これら地方交付税による財源措置に依存せざるを得ないところには、本試算以上に厳しい影響が出る可能性があります。

 さらに、本試算でも十分にカバーできていないところですが、政府が一般財源の総額が確保できたと主張する根拠である1兆円の地方税収増ですが、増収を見込んでいるのは市町村民税の法人割と固定資産税の家屋部分だけです。企業が集まっているところや住宅開発が盛んなところは増収が見込めますが、そうでないところは減収になる可能性が高い。大阪府自体の地域経済が低迷していますし、、大阪の中でも、地域経済や開発の状況は均等ではありません。

 したがって、本試算は、あくまでも理論値であり、地域の実情を完全には計算できていない部分があります。どちらかというと、この理論値は実情よりも控えめな数字であり、より厳しい財政削減になる可能性があるのです。いいかえればこの試算は制度改革でこれだけの財源がカットされるということを明らかにしているといえます。同時に、それぞれの地域の経済の状態や税収構造を反映した分析を進める必要があるといえます。

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-2005.3.26-
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