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[清掃・ゴミ] いざという時に即応可能な体制が必要では?

>>自治体職場からの告発レポート

[UpDate:2006/5/13]

[清掃・ゴミ]
   いざという時に即応可能な体制が必要では?

自治体では一般ゴミ処理の財政負担を軽減をはかるため、「ゴミ有料化」と「外部委託」が大きな流れとなっており、住民が排出するゴミの回収、処理が多くのところで民間企業が担っています。

(表)にみるように、生活系ゴミ(家庭ゴミ)では、40%が委託、100%委託という自治体もあらわれています。

(表)大阪府のごみ収集外注状況
05年大阪自治研集会清掃部会 西川栄一氏報告より

清掃工場の焼却は、常に変化する炉内の状態を適正かつ安全に行わなければダイオキシンなどの有害物も発生します。そのため操業は、安全かつ迅速に行うための専門性、熟練が求められます。

委託化による収集が直営と同じような信頼と安全を担保するには、行政によるきちんとした「規制」と「監視」がなされなければなりません。

市町村の清掃部門の職員は、退職があるたびに委託が広がり、残る職員への負担が増えるなかで、住民とともに「ゴミ問題」を考えていきたいと思っています。

● H市 住民参加型の「ゴミ減量フェア」を開催

3月末に示されたH市の「構造改革アクションプラン」では、さらなる民間委託の拡大がすすめられようとしています。2005〜2007年で、H市が、現在家庭ゴミを収集管理する地域に、64台(直営39台、委託がビン収集含めて15台)ありますが、さらに4台を民間委託する、2007年予定で廃プラ収集についても委託が計画され、将来像として、一般ゴミのうち、2・4車の直営率を50%にしたうえで、ミニ車・平ダンプ・資源(ビン、缶、ガラス)廃プラ収集についてはすべて民間委託という計画です。

市職労は、このような提案がされる以前から「今、求められる行政サービスとは何か!」について議論を重ねてきました。

一般ゴミ収集が委託されたら、「地域・地区のゴミの排出実態、地域特性、違反ゴミの有無等のデータが机上のものとなり、市民サービスの低下につながる」という観点で、委託コースと直営コースが毎年変更して、監視・監督責任を果たせるよう提言しました。

また、2002年から秋にごみ減量フェアを住民との共同参加型で開催しています。1回目は1500名、今年が3300名と大盛況でした。

住民にごみ減量意識の高揚と、日頃目に触れることのない事業所の紹介の内容ですが、アンケートには「年複数回行って欲しい」「ゴミの排出方法から減量方法までよく理解でき、参考になった」などの感想が寄せられています。しかし、これらは直営職員(直営職場)がいるからできる取り組みです。

● 委託は、ゴミの減量化につながらない

委託は、当然のことながら利潤・効率を考えての運営になるので、「質より量」、ゴミを減らすという発想はありません。

業者は「どれだけのゴミを運搬したか」で料金を受け取ります。処理をするゴミは多ければよいという考えに立てば、「ゴミをどう減量するか」「リサイクル、分別、リユース(再利用)をどうすすめるか」という課題には対応できません。

また、ゴミ収集所にカラスや猫にあらされ散らかったゴミがあっても放置されたままという苦情も行政の窓口に寄せられますが、それも業者の責任として引き継がれるだけで、収集現場の情報を蓄積し、すぐに改善・解決する行政の手が行き届かないまま放置されることになります。

● S市 独居老人に「一声」かけて、ごみ収集を

S市のごみ収集は、地域別に10の業者が業務委託を受けており、全市域の8割が委託化、残りの2割の地域を直営(正規職員)で収集を行なっています。

M市やN市(06年4月実施予定)などで行なわれている「ふれあい収集」をS市でも実現しようと要求しています。

「ふれあい収集」とは、介護保険事業と連携し、独居老人の安否確認をかねて、玄関先のゴミを収集しながら、ゴミが出ていない世帯には「一声」かけていくといった収集事業です。単にゴミを収集するのでなく、市民のくらしからくる要求にこたえながらの“仕事づくり”です。

● ゴミの分別・減量推進にむけ、「出前講座」

他市でも「ゴミスクール」として学校でゴミの分別方法を児童に教える業務を行なっていいますが、S市では、市民の要請があれば出向いて「ゴミのはなし」をしています。具体的にはゴミの収集時の経験などを話して、ゴミへの関心を高めてもらい、資源の大切さやゴミ減量に努めてもらうことやパッカー車(ゴミ収集車)を使ってスプレー缶などの混入による火災事故の防止を呼びかけるなどの話をしています。これも直営だからこそ、できる事業です。

何か問題がおきたときに、すぐに対応できるのは、民間業者ではなく直営職員が地域に結びついているからこそ対応できるのです。

2004年の福井豪雨災害の際に、収集車と職員が支援に行きました。大規模な自然災害発生時には、必ず生活ゴミが大きな問題となります。

ゴミ収集が民営化されておれば、業者自身が仕事どころではなく、大量に出るゴミに「カンパ」を投入して処理せざるを得ない事態に遭遇しました。災害時、いざというときの非常事態に即応できる直営職員の必要性を強く感じました。
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