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機関紙-自治体のなかま-

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指定管理者制度・・・力を合わせて公的福祉を守りましょう [2004.7.20]

-2004.7.20-
えっ!あたらしく導入される「指定管理者制度」で
福祉が企業の金もうけの道具に!?利用者サービスきりすて!?

力をあわせて公的福祉を守りましょう
大阪自治労連・福祉保育労大阪地本


■「指定管理者制度」って何?■

保育所・老人ホーム・障害者施設など公立福祉施設の管理運営を 民間企業が代行できる制度です。


金もうけ優先で、利用者の負担増、サービス低下が

公立の社会福祉施設は、憲法で保障された住民の福祉と利用者の権利をまもる大切な施設です。

住民の共有財産であるこの施設を管理運営できる団体は、国または地方自治体、国が定める公共団体(社会福祉協議会、福祉事業団など)、自治体が出資する公益法人に限定されていました。


ところが、昨年の地方自治法「改正」で、新しく「指定管理者制度」が導入されることになり、株式会社などの民間企業も管理運営を代行できるようになりました。

財界はこれを「大きなビジネスの機会だ」(経団連経営労働政策委員会報告)として、福祉を金もうけの対象にしょうとしています。


対象となる福祉施設
(社会福祉法に定める「社会福祉事業」に該当する施設)>
児童関係 保育所
学童保育施設
児童養護施設
乳児院
児童自立支援施設
児童厚生施設(児童館)
児童家庭支援センター
高齢者関係 特別養護老人ホーム
養護老人ホーム
軽費老人ホーム
老人デイサービスセンター
老人短期入所施設
老人介護支援センター
母子・婦人 成人等関係 母子生活支援施設
母子家庭センター
母子福祉センター
母子休養ホーム
婦人保護施設
救護施設
更生施設
宿泊提供施設
障害児・者関係 知的障害児施設
知的障害児通園施設
知的障害者更生施設
知的障害者授産施設
知的障害者福祉ホーム
知的障害者通勤寮
知的障害者デイサービスセンター
知的障害者生活訓練施設
肢体不自由児施設
重症心身障害児施設
情緒障害児短期治療施設
盲ろうあ児施設
身体障害者更生施設
身体障害者療護施設
身体障害者福祉ホーム
身体障害者授産施設
身体障害者福祉工場
身体障害者福祉センター
身体障害者支援センター
視聴覚障害者情報提供施設


福祉施設は、住民の大切な共有財産憲法を基本に「利用者の権利」を守る役割があります

「指定管理者制度」の導入で・・・福祉はどうなる?
「利益」「効率」優先では、いのち・権利が脅かされます

1.利益を生みだすために、負担増、サービス低下が

株式会社など営利追求を目的とする法人が指定管理者になれば、「利益」が上がるように施設を運営します。必要経費に利潤を上乗せして利用料金が設定されたり、必要経費を節約してサービス低下もおこります。

サービスに差別をつけ追加料金を徴収するようになれば、お金もちの利用者だけが優遇されるなど、不平等が生まれかねません。


2.住民・利用者のチェックがきかず、不正・ゆ着も

首長は、指定管理者となった株式会社の経営状況について議会で報告する義務はありません。情報公開や監査請求もできません。また、指定管理者には首長、議員、その親族が経営する法人もなることができます。施設の運営について住民や利用者からのチェックができなくなり、不正・癒着の問題までおこります。

民間企業が参入すると・・・全国と大阪の事例から

■経験の浅い保育士がマニュアルに頼って・・・

東京都三鷹市では、全国で初めて公立保育所が一般の株式会社(ベネッセコーポレーション)に民営化されました。民営化で人件費のコストは公立の時より半分以下に減りましたが、職員は園長以下全員が1年契約の契約社員に。経験の浅い保育士が会社の「マニュアル」に頼って子どもの保育をしています。マニュアルの中味は「企業秘密」で、父母も見ることができません。

■安売り競争でリストラ 専門性をもった職員がいなくなる

コスト削減だけを基準に指定管理者を選ぼうとする自治体も少なくありません。株式会社は低コストで引き受けようとしており、これまで施設を運営してきた法人・事業団も安売り競争にさらされています。大阪府の障害者施設「金剛コロニー」では、指定管理者制度に対応して、経験や専門性をもった正規職員を減らし、数年で首切りできる不安定雇用に置き換えようとしています。

これまでの法律はどうなるの?

老人ホームや障害者施設、保育所、児童館などの施設は、これまで社会福祉法や児童福祉法などの個別法により民間企業に管理運営をゆだねることが原則禁止されていました。ところが政府は、法律の解釈を変えてまで、施設の運営に株式会社参入の道を開こうとしています。

●老人ホーム・障害者(児)施設・乳児院・母子生活支援施設

老人ホーム、障害者(児)施設、救護更生施設、乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、婦人保護施設などは社会福祉法の定める「第1種事業」として、管理運営できるのは原則として国・自治体・社会福祉法人に限定されています。しかし厚生労働省は「今後は第1種事業も株式会社に管理を委ねられる」(2003年8月課長連名通知)として、公然と株式会社の参入をはかろうとしています。

●保育所・児童館(学童保育施設)

児童福祉法に規定する保育所や学童保育施設は社会福祉法では「第2種事業」となっており、すでに株式会社が参入できるようになっています。ただし入所の決定、利用料金の設定は「現時点では国・自治体がおこなうべき」(厚生労働省)としています。公立の保育所・学童保育が株式会社などに民営化された施設では、「詰め込み」「安上がり」の保育で、子どもがケガをしたり、サービスが低下しています。

国・自治体は、施設の管理運営に公的責任を果たすべきです。

大阪自治労連・福祉保育労大阪地本は「指定管理者制度」について、こう考えています。


◆施設は、住民・利用者が無料または低廉な料金で公正・平等に利用できるようにするべきです。株式会社など営利追求を目的とする法人は管理運営するべきではありません。

◆指定管理者は憲法と基本的人権を守る理念、専門性、人材を兼ね備えた社会福祉法人が担うか、自治体が直接施設を管理運営するべきです。

◆自治体は施設の管理運営を指定管理者に丸投げするのでなく、施設が設置目的どおりに適正に運営されるように責任をもつべきです。
施設の運営に利用者・住民の参画を保障し、首長・議会が運営をチェックできるようにするべきです。

◆福祉サービスの水準を低下させないために、施設に働く職員の「専門性」が確保されなければなりません。
職員が、福祉の仕事に安心して専念できるように雇用・労働条件を安定させるべきです。


小泉内閣は、社会福祉事業への営利企業参入を積極的にすすめています。すでに訪問介護事業やケアハウス、保育所など、営利企業の経営する事業所が、全国的に広がりはじめています。福祉サービスを商品として売買することなど、けっして認められることではありません。


サービス控えがひろがるなかで
21世紀・老人福祉の向上をめざす施設連絡会
幹事 中村公三さん

国民・利用者に知らされないままの諸制度「改革」があまりにも多すぎます。「指定管理者制度」もそうで、内容を知れば、公的施設が民間企業に丸投げされてしまう。

しいては福祉の市場化営利化を加速させ、ますます自治体の公的責任が後退するのではと危倶します。

介護保険制度下で低所得者を中心にサービスを控えなければならない実態が広がる中で、今こそ社会福祉の公的責任の拡充を求め、「利益や効率」を優先した福祉に歯止めをかけましょう。


利用者の自由やコントロールが困難に
大阪保育運動連絡会
会長 村田浩治さん(弁護士)

民間だから悪いというわけではなく、保護者がきちんと意見を表明し、保育内容を良くしようと思っても、民間法人の運営権・管理権が立ちはだかることがあります。

「運営者の自由」の名によって利用者の自由を制約することがあります。例えば「勝手にビラを配っては困る」という態度を改善させることは容易ではありません。

指定管理者制度は、議会選挙や請願などによる公的な民主的コントロールの及ばない領域を公認する制度です。危険性を早く住民に知らせ、自治体レベルで歯止めをかけることが緊急に必要です。


府・市町村は施設利用者の権利を守り、安心できる福祉サービスの提供を


私たちは要求します

「指定管理者制度」が導入されても、利用者・住民の立場で指定基準や運営に規制をかければ、安心できる福祉サービスを提供することは可能です。私たちは、大阪府と市町村が施設の管理運営に公的責任を果たすように求めています。


指定管理者は、コストではなく憲法・基本的人権を基準に指定を

1.経費削減・効率優先ではなく、憲法と基本的人権を守る社会福祉法人を指定すること。

2.自治体直営の施設は、直営を堅持すること。

3.株式会社など営利を追求する企業は指定しないこと。

4.首長・議員、その親族が経営する法人は指定しないこと。





●利用者に負担をおしつけず、公正・民主的な施設運営を

1.利用者への負担増は行わず、低廉料金または無料でサービス提供をすること。

2.府・市町村は、施設が平等・適正に運営されるよう監視・チェックすること。

3.利用者のプライバシーを保護すること。

4.施設の運営に利用者・住民の参画を保障すること。


サービスをになう施設職員に安定した労働条件を

1.職員の配置は国の最低基準ではなく、福祉サービスを向上させるために加配を行うこと。

2.福祉の専門性・継続性を確保するために、正規職員で配置すること。

3.職員が安心して福祉の仕事に専念できる賃金・労働条件を保障すること。

4.指定管理者が入れ替っても、施設職員の雇用は原則として継続すること。

私たちは、利用者・住民のみなさんとともに、よりよい福祉施設をめざします。


福祉・<らし・賃金・雇用など、こまった時はお気軽にご相談<ださい。(秘密は厳守します)

福祉施設のあり方、運営についてご意見・要望を聞かせてください
これからの取り組みへの貴重なご意見として参考にさせて頂きます。
氏名住所等は、本人の了解なく公表したり他の目的に使うことは一切いたしません。



大阪自治労連(大阪自治体労働組合総連合)
私たちは大阪府庁・市役所・町役場・自治体関連の職場で働く労働者でつくる労働組合です。

TEL 06-6354-7201
FAX 06-6354-7206
〒530-0041
大阪市北区天神橋1-13-15 大阪グリーン会館4F
Eメール mado@osaka-jichiroren.jp
ホームページ http://www.osaka-jichiroren.jp

福祉保育労大阪地本(全国福祉保育労働組合大阪地方本部)
私たちは民間の保育・社会福祉施設の職場で働く労働者でつくる労働組合です。

TEL 06-6773-8441
FAX 06-6773-8292
〒543-O055
大阪市天王寺区悲田院町8-12
Eメール fukuhoro@ofhr.net
ホームページ http://www.ofhr.net

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