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第15回地方自治研究集会全体集会報告 [2006.2.27]

[UpDate:2006/2/27]

第15回地方自治研究集会全体集会報告


 「ホンマにええの?『民営化』・憲法と自治が生きる地域をめざして」をテーマに、第15回大阪地方自治研究集会の全体集会が10月29日(土)午後、大阪市北区の天満研修センターで開催され、約160人が参加しました。

 全体集会は藤永延代実行委員長(おおさか市民ネットワーク代表)のあいさつの後、実行委員会の久保貴裕事務局長(大阪自治労連行財政部長)が基調報告しました。

報告では、小泉「構造改革」の下で強まっている「民営化」は、国や自治体の仕事だけでなく、公的な役割を果たしている民間の福祉、医療、農業の分野にまで営利企業を参入させることで進行し、保育や学校給食、ごみ処理をはじめ、住民サービスの現場で様々な矛盾や住民犠牲を生み出していると指摘。

さらに大阪府・大阪市が急先鋒になっている地方独立行政法人化や指定管理者制度、「民営化」などの「自治体版構造改革」は憲法9条の改悪と一体になって進行していることを明らかにするとともに、数々の「民営化」に対して、住民の権利や公共性をまもる運動も広がっていると強調。「大阪でこそ、憲法にもとづく住民の自治・権利を守り、発展させる運動を広げよう」と呼びかけました。

 住民生活や自治体の現場からのリレートークでは4人が発言。東大阪市立消費生活相談センター相談員の荒牧京子さんは、「消費生活相談件数が急増する一方で相談体制は人員不足。相談員は高度な専門性が必要だが、非常勤・嘱託など身分は不安定。これで被害は救済できるだろうか」と問い掛けました。

 門真生活と健康を守る会の江田みどり事務局長は「生活保護基準とかわらない低賃金や不安定雇用が広がっているのに、医療・税制改悪でセーフティーネットは崩壊寸前。人間らしく生きるあたり前の要求をかかげて団結を」と訴えました。 

 大東市の上三箇保育園保護者の小林勇実さんは、市が2003年に強行した同保育所の民営化で子どもや親が傷つき「二度と子どもたちにつらい思いをさせないために」と大阪地裁から高裁へ裁判闘争を続けていることを報告。

 堺市職労建設合同支部の石黒一郎さんは、建築基準法改正(98年)で行政の「建築主事」だげでなく、民間指定機関による建築物の確認検査が急増している事例紹介。「現場で学んでこそ的確な製作が判断できるのに、自治体労働者によるる確認検査が激減している」と問題点を指摘しました。

 シンポジウムでは神戸大学の二宮厚美氏をコーデイネーターに、福祉保育労大阪地本の山崎健逸副委員長(大阪市平野児童館館長・大阪市社会福祉協議会職員)、全大阪消費者団体連絡会の飯田秀男事務局長、吹田市職労の岩根良委員長が「民営化」や規制緩和の中での公務労働の役割や運動の方向について発言し、討論しました。

 二宮氏は「民営化が、生存権を保障する憲法25条を改悪する動きと連動して進んでいる」と指摘。生存権保障の分野を担う公務労働への攻撃にいかに反撃していくかを考え合えたい」と問題提起をしました。

 山崎氏は大阪市の民営化、指定管理者制度導入の現状を報告。「福祉の受け皿が多様につくられているが、サービスの質を落としながらやっている状況がある。公務の水準が民間の目標になるので、それを切り下げていく流れを変えていく必要がある」とのべました。

 飯田氏は「規制緩和が叫ばれ、競争の中でコスト削減が至上命題となり、安全軽視や消費者の権利侵害がおこっている」と強調。こうした流れと対抗するための公務労働の価値として、長期・安定雇用・職能向上の保障で専門性を維持し、住民の権利擁護を主張できることや公共性、民主制が維持できる」と指摘。「行政施策・政策を改善する専門科として活動し、地域住民と共同する視点が必要」と提起しました。

岩根氏は、1980年代の「臨調」行革とのたたかいのなかで生まれた「住民懇談会」運動をはじめ、労働組合が住民の中に入って運動の先頭にたち、市民本位の自治体づくりに奮闘している活動を紹介。「権利保障の砦として評価してくれている住民の存在と、それにこたえ頼りになる公務労働、自治体労働組合をめざそうという存在が結び合って構造改革路線に対抗していく大きな軸になるのでないか」とのべました。
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