きずなアンケートの集計結果を公表します [2010.11.29]
大阪自治労連は10月28日、今年の春から夏にかけて取り組んだ住民アンケート(きずなアンケート)運動の報告交流集会を大阪グリーン会館で開催。「アンケート運動で築いた財産を生かし、地域の“きずな”をもっと広く、深くひろげよう!」と意思統一をしました。アンケートは、大阪自治労連が大阪自治体問題研究所とともに今年4月から8月にかけて実施。全大阪府域を対象に、大阪自治労連に加入する労働組合が行政区ごとに分担を決め、のべ1000人の組合員が参加して、無作為に住民の自宅を訪問して調査し、府下36市町村から、4172件の回答が寄せられました。
交流集会に先立って記者会見を行いました。記者会見には大原書記長、久保行財政部長・大阪自治体問題研究所常務理事、本多哲夫・大阪市立大学准教授、吉中季子・大阪体育大学講師が出席。自治体労働組合として直接、住民の中に足を運んだ取り組みの経過や、アンケート結果の特徴について説明しました。記者からは「府下全的から回収した4172件という数字の持つ意味は大きい。マスコミが行っている世論調査でもせいぜい1000件くらいだ」「今後、自治体の労働組合として、アンケート結果をどう活用していくのかを注目したい」などの今回の取り組みを関心を持った意見などが寄せられました。
府民の要求と橋下府政に大きなギャップが
記者会見の後に開催した報告集会では、冒頭に大阪自治労連の前田委員長があいさつ。「各単組や地協で、夏の猛暑の中、地域ごとに分担しながら、住民の中に直接足を運んでアンケートに取り組んだことの意義は大きい。きずなアンケート運動で生まれた様々な経験や教訓を交流し合い、来年のいっせい地方選挙をにらみながら、これからの運動にいかしていきましょう」と呼びかけました。
続いて、大阪自治体問題研究所の研究者としてアンケート調査に協力を頂いた本多哲夫氏、吉中季子氏がアンケートの集約結果の特徴について報告しました。本多氏は、「暮らしむきについて、57.5%が『苦しくなった』と答える一方で、『よくなった』と答えたのはわずか3.5%。住民の生活が全般的に厳しい状況であることがうかがえる。生活が苦しくなった理由に『国保・介護保険料の値上げ』『給料の減額』をあげている人が多い。また、8割が『いま住んでいる地域に、これからも住み続けたい』と答えており、定住への志向が高まっているのも特徴だ」と指摘。住民が大阪府に求める施策では「地域医療・救急医療の充実」が最も多く、次いで「高齢者・障がい者・子育て支援の充実」「雇用対策の充実」、「中小企業と支援の強化」と府民のいのち、くらし、営業を支える府政を強く望んでいることが示されました。一方で、「ベイエリア開発など大型開発の推進」「府庁のWTC移転」「福祉・教育を削り府財政の再建」など橋下府政が推進する政策は多くの府民は望んでおらず、府民の要求と橋下府政の政策には大きなギャップがあることも明らかになりました。
「アンケートの分析を通じて、これまで漠然と感じていたことが、客観的な数値として証明された意義は大きい。これだけの規模の調査を、コンサル会社にまかせるのではなく、自治体労働組合が自ら住民の中に足を運んで実施した意義は大きく、これからのみなさんのいろんな取り組みに生かされると思う」と感想を述べられました。
現役世代では市職員採用を望む声が多数
吉中氏は「きずなアンケートから見えてきた市民の市職員採用への思い」というテーマで報告。アンケート結果では「市役所の職員採用を増やす」ことについて、全体としては否定的に見る回答が多かったものの「年齢別に見ると、50歳代までのいわゆる現役世代の層では市職員の採用を望んでいる人が多い」「子育て支援の充実など福祉施策を強く求めている人ほど市職員採用には積極的」「公務員、医療、福祉、教育などの仕事に従事している人は採用に積極的で、建設業、製造業、小売、飲食サービス業に従事する人は消極的など、世帯主の仕事の種類でも意識に違いが見られた」など興味深い特徴を紹介しました。今後、大阪自治労連として住民や民間労働者との共同をすすめていく上でも、重要な問題提起となりました。
アンケートに取り組んで団結が一層強まった
交流では「組合で統一行動を組んでアンケート調査を行った。保育所支部が各保育所周辺で積極的に取り組んでくれて、市内全域から回収することができた。堺の特徴も明らかにして、住民宣伝ビラもつくって運動を進めたい」(堺市職労)、「守口市内には低所得者層と自営業者が多く、安い公営住宅建設の要望は他市と比べても高い。公契約条例の制定を望む人も大阪全体と比べて8ポイントも高いのが特徴だ。この結果をこれからのまちづくりに生かしたい」(守口市職労)、「市内を中学校区ごとに分けて調査を行い、あらためて市内の中小企業の大変な実態がわかった。来年の市長選挙にむけて政策づくりや運動に生かしたい。中河南地域には大阪自治労連の組合がない空白自治体もあるが、ここを府職労の仲間が担ってくれた。きずなアンケートの取り組みを通じて、地協と労働組合の団結が一層強まった」(東大阪市職労)、「広大な大阪市内地域をまわるのは大変だったが、大阪市労組をはじめ地協の組合員が積極的に動いてくれた。大阪市内は、大型開発やWTC移転に賛成する人が全体集計よりも多いなど、独自の課題を抱えている。アンケートの結果を、これからの府政や大阪市政に対する運動に具体化したい」(大阪市内地協・府職労)など意見や感想がのべられました。
「わが町と府政を語る集い」(仮称)など、アンケート生かす次の取り組みへ
まとめと行動提起を行った大原書記長は「きずなアンケートに取り組んで、自治体と自治体職員に対する住民の期待の高さがあらためて示された。この運動を確信に、さらに地域でのきずなを深める取り組みを強めよう」と訴え、(1)アンケート結果を市町村、地協単位でも特徴をまとめる。(2)単組または地協単位で、「わがまちと府政を考える集い」(仮称)を開催する、(3)アンケート結果をもとに、地域の事業所、各団体を訪問して、積極的に対話運動を進める、(4)2011年春闘で、大阪自治労連として地域宣伝用チラシを作成して、全府域で配布するなど、今後の行動について提起を行いました。
→きずなアンケート集計結果分析 本多哲夫氏 [2010.11.29]
▲地域別を追加しバージョンアップいたしました
→きずなアンケートから見えてきた職員採用 吉中季子氏 [2010.11.29]
→住民のくらしの実態を調査する "絆"アンケートを実施中 [2010.6.20]
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