>>自治体職場からの告発レポート

[UpDate:2006/5/13]

自治体職場からの告発レポート

 憲法を暮らしにいかし
   すべての住民が豊かにくらせる社会の実現を
     小さな政府=大きな国民負担に反撃!!

2006年4月 大阪自治労連

 〜目次〜

 はじめに


 I 市民のくらしから   「格差社会」の実像

15〜16時間労働で、睡眠は4時間
消費者とともにつくる“まちづくり”
人間性の回復めざした社会連帯を広げる運動を強めた
深刻さを増すばかりの府民の暮らし


 II 自治体の職場から   職場の窓口からみた市民のくらし

[生活保護] 極めて深刻な福祉事務所 〜増大する相談に対応しきれない恒常的人員不足〜
[国民健康保険] 高負担の保険料や“制裁措置”は医療を受ける「安心」を奪う
[介護保険] 大幅な保険料引き上げの上にこれまでのサービスも利用できない
[障害福祉] 障害者・家族、施設にとっては、自立支援法=“自立阻害法”
[子ども] 親の生活がダイレクトに子どもに影響 〜虐待全国一の大阪〜
[保育] 施設もボロボロ、公的保育もくずされ、「安全」が守れない
[保健衛生] 不健康な“大阪”を放置したまま後退する保健行政
[税務] 借金してまで税金、使用料の徴収を求められる
[建築行政] 建築確認検査の民間開放は、何をもたらしたのか? 〜耐震強度偽造問題から見えてきたもの〜
[清掃・ゴミ] いざという時に即応可能な体制が必要では?
[学校給食] 業務が切り分けられ、子どもの顔がみえない
[図書館] “知る・学ぶ権利”を保障する公共図書館がレンタル屋にかえられる?


 編集後記

はじめに


「あなたの将来の夢はなんですか」
「コンビニのアルバイトです」

 東京都江戸川区の女子中学生が、高校入試の面接練習でそう答えたといいます。そして、「競争の舞台にも上がれず、将来に希望がもてない子どもたちがいる」と朝日新聞(3月21日付)が書いています。

 いま、小泉「構造改革」によって国民の中に「貧困と格差の拡大」が急速に進んでいることが社会問題化しています。非正規労働者が1750万人、フリーター213万人、ニート64万人、完全失業者277万人、年収200万円以下の低所得者層は5世帯に1世帯、生活保護世帯が100万世帯を突破、貯蓄ゼロ世帯が23.8%に広がる・・・・・「市場万能」「弱肉強食」に貫かれた小泉「構造改革」の5年間がもたらした結果です。社会保障のあいつぐ改悪と大増税がそれに拍車をかけ、子どもたちの希望さえ奪う日本社会の歪みが広がっています。

 ところが小泉首相は、「格差が出るのは悪いことではない」と当然視するばかりか、次は「小さな政府」をめざして「構造改革」をしゃにむにおしすすめようとしています。「小さな政府」とそのもとでの「小さな自治体」は、単に公務員の数や賃金の削減にとどまらず、国民・住民の安心・安全や、生存権、幸福追求権、労働権や教育権などの基本的人権を保障するための公務・公共サービスを解体し、財界・大企業のもうけのための市場として「開放」しようとするものにほかなりません。これはすでに現実のものとなり、「自治体が自治体でなくなる」事態さえすすんでいます。これでは、格差の拡大にいっそう拍車をかけてしまうのではないでしょうか。

 今、開会されている国会では「行政改革推進法案」や「市場化テスト法案」など、国や自治体のかたちやあり方を根本からかえる法案の成立がねらわれています。

私たちは、住民全体に奉仕する職務をになう自治体労働者として、住民のくらしを支える公務・公共サービスを拡充し、すべての住民が希望に満ちて豊かにくらせる社会、憲法がくらしに生きる社会の実現を願っています。

 そのために、地方自治体の変質と「格差社会」が住民のみなさんにもたらしている影響を直視するとともに、「住民のために働く」とはどういうことなのか、「自治体の役割は何なのか」を改めて問い直し、住民のみなさんとの共同と連帯を広げて「小さな政府」を許さない運動をすすめていくために、この冊子を発刊いたしました。

 「格差の少ない社会をめざすのか・・・・・勝ち組、負け組をつくって格差が広がる社会を是とするのか。その答えを出すためにも、議論をあいまいにしてはならない」(「毎日」3月22日付)。私たちも、今の、そしてこれからの社会と自治体のあり方について大いに議論し、答えを見出していこうではありませんか。
大阪自治体労働組合総連合
執行委員長   谷 真琴